難局料理人

映画『南極料理人』を観ました。南極という極限状況の中で、食を通じて難局を解決していく。と書くと、ち~とばかし大げさですが、南極観測隊の皆さんにとっての日常の出来事を、日本と同じ食事が解決(食で消化)していくさまが、大変ユニークでユーモラスでよかった。我々からしたら非日常な問題と隊員感情と食事とが、そこはかとなく見事に絡み合って、よくできている映画だと感じました。

 

主演は堺雅人さん。とはいえ、その描かれ方や存在感が突出しているわけでもなく、みんな主役と言っても良いほどの凹凸のない感じが、逆に良かったのではないかと思います。


沖田修一という監督さんは新進気鋭のようで、ウィキペディアにページすらありませんが、空気感というか、間の撮り方に気を使っている感じを受けました。大変好きなタイプです。今後に期待しています。

 

NHKの朝ドラに出演中の高良健吾くん(雪氷サポート)が出ていたことには、びっくり。彼も今後飛躍しそうな俳優さん。期待しています。

 

フードスタイリストの飯島奈美さんや榑谷孝子さんが作る料理は、正直、そんなに特別美味しそうには思えないのですが(不味そうということではないのです。ライティングなど撮り方の問題?あえて、あのような撮り方をしている?)、見ていると俄然食べたくなってきます。

これは、美味しそうに食べてもらうという役者の演技力や、演出も大きかったと思います。

 

隊員たちは決して「美味しいよ!」とは言わない(言わせない?)。「美味い!」とか「う~ん」とか声で表現させずに、もくもくと無言で食べるのですが、逆にそれがいい。そういう抑制の効いた、演出過多になっていない世界が、極寒の南極というシチュエーションにマッチしていました。

 

我が家では「また観たい」と思う映画はDVDに焼いて保存しておくのが、ならわしです。この映画は、そうなると思います。


鑑賞後、何が一番食べたくなったか。

 

それはなんと言っても、ラーメンですね。ラーメン。