1周年!グズグズ祭り@東京芸術劇場

1周年!グズグズ祭り@東京芸術劇場

神田松之丞:「天保水滸伝~繁蔵 相撲の啖呵」
春風亭柳若:「天災」
昔昔亭A太郎:「妾馬」
-仲入り-
春風亭昇也:「湯屋番」
瀧川鯉八:「笑う太鼓」
三笑亭小笑:「唖の釣り」


1周年のうち、半年は共に過ごしていると言っても過言ではないほどに愛着を感じている「グズグズ寺」の今日は記念すべき、めでたきお祭り。東京芸術劇場での村祭り。村祭りにしては会場が広すぎたのか、演者も観客もどちらも、その居心地の悪さを感じていたような気がする。そんな肌感。それはそれで“オチ”が付いているような気がしてしまい、微笑ましくさえも感じるのは、愛ゆえか。

松之丞さんは「天保水滸伝~繁蔵 相撲の啖呵」。初めて聴く「天保水滸伝」。これは江戸末期の千葉県の東総地域を舞台にした、二人の侠客の勢力争いを描いた物語で、主人公の笹川繁蔵と飯岡助五郎は実在した博徒の親分。現在の東庄町笹川と旭市飯岡、それぞれの地で子分を抱えて勢力を誇っていたんだそうです。こういう本格的な舞台に映えるなぁ、松之丞さんは。場に負けてなかった。むしろ、らくごカフェ空間だと窮屈そうに感じていたので、(体格的にも芸風的にも)大きな人を大きな空間で観ることができて大変よかった。もっと真正面の席だともっと大迫力だっただろう。

先日の「宗論」以来、俺の中での柳若さん評価メーターがぐんぐん上がってきている。そんな中での「天災」。“べらぼうになまる”“俺、なまってね↓ーよ↑”の細部が可笑しくて。

時間を考えてか、いつものようなA太郎流枕を振らずに、速攻で「妾馬」本編へ。どうもなぁ。いい声だし、巧いんだろうけども、演じ分けと言うか、みんな一本調子に聞こえてしまう。八五郎は頓馬でそそっかしくて、酔っぱらうとべろべろになってしまう、ちょっとダメなあんちゃん…のはずなのに、その不真面目な部分が見えてこなくて残念。A太郎さんがちゃんとしている人だけに、ちゃんとしている真面目な八五郎になってしまっていて。

昇也さん。昇太師匠の物まねや、今日出会った喬太郎師匠の言葉(面白そうな寺だね)、電車内での面白出来事など、相変わらずサービス精神いっぱいのおもしろ枕から前回のグズグズ寺で俺大絶賛の「湯屋番」。やっぱり感じる小痴楽エッセンス(わがるやづだげ、わがればいい)。噺への入り方など、今日は絶好調な印象。もっともっと磨いて完璧な持ちネタになったときに、また観てみたい。

鯉八さんは「笑う太鼓」。以前出会った鯉八ファンの方が大絶賛してた。俺は初めて聞く噺。俺なら「ある組織」とか「それそれ」「藪の中」のほうを大絶賛するね。鯉八ワールドにしては普通。それはそうと「長講になるので割愛します」といったお見合い話と官能小説の方が気になりました。

トリは小笑さん「唖の釣り」。聴くのは3度目だけど、ちゃんと稽古したり、さらったりしているのでしょうか。大空間に憶してしまったのだろうか。小笑さんらしいと言っちゃぁらしいんだろうけど、唖が「そう」って思わずしゃべっちゃったりしては…。可笑しいっちゃぁ可笑しいんですけどね。話している方からしたら、相当焦ったのではないかと。聴くたびに上手くなっているね!と言いたいし、言う準備着々だし、言う気満々なんすけどー。年末、大丈夫なのか「芝浜」。

池袋から目白、高田馬場と、途中まで歩いて帰宅。少々、美味しいお酒も嗜んできましたー。