第17回グズグズ寺
三遊亭小笑:「長屋の花見」
春風亭柳若:「大工調べ 」
神田松之丞:「源平盛衰記 青葉の笛」
春風亭昇也:「時そば」
今回から「成金@ミュージックテイト」との差別化を図るためにオープニングトークをするという。月番は小笑さんと昇也さん。噺家らしい縁起担ぎの話などを昇也さんが引きだそうとするも、思うような回答をしてくれない小笑さん。歯車がかみ合わないのが可笑しい。小笑さんというのは天性の弄られキャラなんだよな。
で、開口一番は小笑さんで「長屋の花見」。誰を基準に語っているんだ比べているんだと言われそうだけど、巧くなっています小笑さん。対象基準は半年前の小笑さんです。巧くなっていて当たり前だと言われると笑うしかないけど、でも、永遠にあのままのような気がしていた小笑さんが巧くなってきているという事実を体感し、俺自身が驚愕。お酒と卵焼きとかまぼこが無性に食べたくなりました。
柳若さんの「大工調べ 」は、相当にたどたどしかった。でも、次に聴いたらうまくなっているんだろうなと思うの俺。だから期待しちゃう。
松之丞さんは「源平盛衰記 青葉の笛」を。宝井馬琴⇒馬場光陽と伝承されてきている有名なネタらしい。でも俺の頭の中は来月ネタだししている「畔倉重四郎第9話~重四郎の三五郎殺し」でいっぱいでしたとさ。
稀代のポップスターになる!と俺が確信している昇也さんは「時そば」。この手の軽い噺(軽い=簡単と言う意味ではありませんぞ。却って軽い方が誤魔化しがきかないから難しいと俺は思っている)が本当にお上手。
兄貴と弟分という設定の昇也版「時そば」。どなたに教わった誰流の時そばなのでしょうか。すごく面白かったです。粋な蕎麦っ喰いの兄貴と、とんまで我慢強く打たれ強くポジティブシンキングの弟分。昇也さん独自の下げであったら(将来的にぜひとも)、もっとオリジナリティが出てよいのではないかという気がした。ネタ下ろしなので当然そんな改作はしないんだろうけど。
「時そば」というと俺は感激したのが2席あって。ひとつは鯉昇師匠の「蕎麦処ベートーベン」。もうひとつは文左衛門師匠の「時そば」。お二人とも蕎麦の喰い方がとっても美味そうで旨そうで巧くて上手い。“うまい”の4段重ねなのだ。わかってもらえるだろうか。この“うまいの4段重ね”。
普通に食事として美味しそう。美味い。
落語に出てくる喰い物として旨そう。旨い。
落語の技術的に美味しそうに見せるところが巧い。巧み。技巧。
総じて上手い。木戸銭を払ってでも観たい演目。上手な高座。
ネタ下ろしながら、今夜の昇也さんの時そばは、将来俺的第3位にランクインするだろうなというくらい可笑しかった。蕎麦の喰い方は経験を重ねるうちに今夜以上にもっともっと美味しそうに演じられるようになるでしょうからね。
寒い時期「春風亭昇也:時そば」とネタだしされていたら「これは見逃せない!行こう」となるだろうなぁ。
たどただしさや拙さを補って余りある可笑しさと将来性を感じた。いや、これは大袈裟でも何でもなく。こういう体験に偶然ぶち当たるから落語って楽しいわけでね。
もうね。昇也さんの「時そば」が素晴らしく面白美味しそうで(確実に笑いのとれる鉄板ネタ、十八番になる予感)、小笑さんの「長屋の花見」が何とも小笑風でユニー クだったので「ひずたけ」@明大前に寄って蕎麦喰って御酒呑んで帰ろうと思ったのよ。
でも休みだったの。ので途中、蕎麦と卵焼きとかまぼこを買ってきて宅呑みしましたの。いやー落語もお茶けもお酒も美味しい夜でした。おやすみなさい。
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