百貨店業界:百貨店の持ち味を活かせるコトづくりを。

1億総中流の時代は終わっています。ライフスタイルも確実に変わりました。

その中間層で生きてきた(稼いできた)百貨店が、いま、大変な危機を迎えています。勇気を持って意識転換、今風に言えばイノベーションを行わないと復活は難しいと思われます。

百貨店は「百貨店」と言う業態が良いのかすら、もはやわからなくなっているように思います。「ライフスタイルが変わったのはわかる。もう百貨店なんてなくてもなんとかなる」という状況になりつつあるのに、その現実を認めることができないでいるように思われます。

売れなくなってきている。それを外的要因のせいだと思っているのではないでしょうか。被害者意識が強いと感じます。今の状況を認めて、自省すべきではないのだろうかと思ったりもします。

もはや、これまでの市場を守ることは無理なのです。「百貨店市場」「百貨店業界」というもの自体がないとすら思うのであります。見方を変えれば業界の適正規模が見えてきた、ということでもあるのかも知れません。市場のニーズ。必要量。小売市場と流通市場とは異なるものでもりますし。

アマゾンは百貨店実店舗の敵なのでしょうか?ネット通販と競い合わないといけないのでしょうか?

O2O(「Online to Offline。ネット上の情報や活動が実店舗での購買行動に影響すること。また、実店舗での購入につなげるためにネット上で行われる、販売促進やマーケティングなどの活動)の世界。これを一つの業態と考えればいいのに。こういう思考をどこもやらない。それがおかしい。百貨店の人たちのプライドが邪魔をしているのではないかと思うのです。

「小売業」から「流通業」と言い始めてからおかしくなった気がします。成長しきれてなかったのではないでしょうか。発展と成長は違うのです。

新しいブランド、新しい売り場、新装開店。これらは内向き志向の改革でしかないと思います。本来の改革ではない。決して流通改革ではありません。

本質的な高級店は残って、中途半端な店は潰れています。

極上顧客のために1フロアをプレステージ化するとか。サンダル履きの人はお断りにするとか。外商にこれまでにないくらい心血を注ぐとか(いかに客に近づいていくかが商業の基礎です。地域や上顧客とのコミュニケーション戦略ということです)、持ち味を生かすための環境をつくればいいのではないかと思うのです。

百貨店の持ち味とは何か。それをいまこそ、しっかりと考えるべきときだと思うのです。