雷門小助六・春雨や雷太二人会@LEFKADA新宿

雷門小助六・春雨や雷太二人会@LEFKADA新宿

雷門小助六:「八問答」
春雨や雷太:「ねずみ」
雷門小助六:「明烏」
-仲入り-
雷門小助六:「豆や」
春雨や雷太:「春雨宿」


ときどき、こういう日がある。意外とある。行きたい!観たい!聴きたい!という落語会が2つ以上重なる日。選ぶのが困る日。それが今夜5月14日(水)だった。

★庚申塚亭水曜夜席@庚申塚・スタジオフォー/入船亭小辰・三笑亭夢吉・立川らく里・三遊亭橘也

★きらり・松之丞二人会「第三回村井長庵連続読み(全六回)」@テイト

★第5回コイコイ@神楽坂Art salon香音里/瀧川鯉八・瀧川鯉〇

★三遊亭遊雀セレクト落語会「風雅満帆」第13回@道楽亭/ゲスト:春風亭昇也

★れふかだ落語会~雷門小助六・春雨や雷太 二人会~@LEFKADA

なんつ-か、酷くね?この重なり合い状況。もう苦笑を越して、大笑い状況だわ。選ぶ客の身にもなって欲しい…。で、結局、熟慮に熟慮を重ねた結果。「雷門小助六」を選んだのですよ俺は。迷いに迷った挙句、苦渋の選択、断腸の思いで、レフカダへ。

第1回七人の侍 ネタ下ろし・あんまやってないネタ勉強会@根津・池之端しのぶ亭」で生・小助六さんを聴いて以来、気になっていた逸材。他のどんな落語家とも違う個性。古今亭菊之丞師・古今亭文菊師っぽさを感じさせる艶っぽい物腰と語り口。最近の俺の一押し、噺家さん。そんな小助六師が、従兄弟である雷太さんとの二人会と聞けば、これはもう!んもう!

雷門助六(八代目)の弟子に雷門助六(九代目)と春雨や雷蔵(四代目)の両師匠がいます。その雷門助六(九代目)の弟子が雷門小助六さんで、春雨や雷蔵(四代目)の弟子が雷太さん。つまり二人は、雷門助六(八代目)の孫弟子であり、従妹同士と言うわけ。

で、今夜は八代目助六十八番より「八問答」・「豆や」・「春雨宿」をかけてくれるという会なのであります。こういうコンセプチャルな会大好き!


開口一番は小助六さん。助六(九代目)と雷蔵(四代目)の違いについての枕からの「八問答」。初めての噺。「馬大家」とか「山号寺号」など、この手の噺は落語が落語たる所以的な感じが楽しくていい。

小助六さんは軽くていい。噺家さんらしい噺家さん。気負いも衒いも感じないにこやかなオーラで、(なんとなーく)お客たちを物語の中へひっぱっていく。その手口は決して強引ではなく、優しくしなやかだ。さらりと可笑しく、さらりとさらりと。

飄々としているが、決して天然ボケな感じではなく、理知さを感じさせる。狡猾な感じはしないが、緻密な計算を感じる。そこまで二枚目ではもないのに、色っぽい。歌舞伎役者の艶という感じか。

お次、雷太さんは「ねずみ」。「先輩との会は気楽」といいつつも、緊張している(それほどリラックスしていない?)だろうか。やや硬い印象。雷太さんっぽい、っちゃぁ、ぽいけど。

小助六さんの「明烏」。こんなにとんとんと短くまとまったの「明烏」は初めて聴いた。寄席サイズにも近いくらいの短さではないだろうか。俺が短く感じただけ?

小助六さんは「豆や」。この噺、何度聴いてもサゲが面白くないんだが、そんなことは感じさせない小助六さんの「豆や」。豆屋に挑戦することになった与太郎を客が脅すわけだが、普通なら、それが暴力的で高圧的な嫌な感じになってしまう。そのマイナスを感じさせないのが小助六さん流なのか。

雷太さん「春雨宿」。これも初めて聴いた噺。意外と言ってはなんだが、なんだかとっても雷太さんにぴったり合っていた。この手のオーバーアクションの剽軽な噺、似合うのかも。本格古典の「ねずみ」のときとは比べようもないくらいのソフトさ、柔らかさ、くだけっぷりが、これまで観て来た雷太さんとは全然違っていて、とーーーっても良かったです。

ケメ子(きみ子)に逢いたくなった。「けめづか(君塚)温泉」にも行って見たくなりました。山道を数理歩いてもいい!


来週の「第2回 七人の侍 “ネタ下ろし・あんまやってないネタ勉強会”」では小助六さん、「あくび指南」をかけるそうだが、賭けてもいい。絶対に合ってるし、絶対に可笑しいはずだ。もう想像できちゃうけど、聴きたい!行けないけど。いつか小助六さんの独演会が催されたら、絶対に行くぞ。