扇辰日和 vol.52

扇辰日和vol.52

入船亭辰のこ:「手紙無筆」
入船亭小辰:「代脈」
入船亭扇辰:「お初徳兵衛」
-仲入り-
三遊亭萬橘:「長短」
入船亭扇辰:「野ざらし」


腰の病気(怪我?)で長期療養していた「辰まき」改め「辰のこ」さん。「巣鴨の小辰」で観て以来の辰のこさん。あん時よりも少しふっくらと。また太ると腰には悪いから…。心配。「手紙無筆」。ちょっと心配。

小辰さんはコミカルに「代脈」。オチは好きじゃないけど、それ以外は日に日に増す巧さと安定感。しくじった際、白鳥師匠の所に預けられなくてよかったね。

久し振りに扇辰一門総ぞろいの会なので、今日は来たかった。一時、参加が危ぶまれたが、来れてよかった。

扇辰師匠はネタ出しの「お初徳兵衛」」。「おせつ徳三郎」じゃないよ。「お初徳兵衛~馴れ初め」。「お初」と「徳兵衛」のカップルは近松門左衛門の浄瑠璃「曽根崎心中」から出ているんだそうだ。良く知られたこの浄瑠璃から登場人物の名を借りて作られたのが、人情噺「お初徳兵衛浮名桟橋」なのだ。

この会の直前に観た扇辰師匠の掲示板に師匠はこう書いていた。勝手に引用(ごめんなさい)。

 「ひとみ座」でご一緒した小燕枝師匠が素晴らしかった。
 「笑わせよう」「感心させよう」としている自分の高座を反省しました。
  宝物が増えました。
  これも大師匠・小さんの遺産です。
  落語って「しみじみ、いいもの」なのだよ。
  繰り返します「しみじみ、しみじみ、いいもの」が落語なんだ。

しみじみ、良かったですよ。師匠。ええ、ほんとに。


ゲストの萬橘さん。久しぶり。キョドってる雰囲気、落ち着きのない芸風に磨きがかかっていた。「長短」。気の長い長さんと、矢鱈滅法短気な短七。二人が蕎麦を喰う「長短」は初めて観た。でも、俺が見た中で、いっちゃん好きな「長短」は、古今亭菊輔師匠の「長短」。短七よりも、気の長い長さんに光が当たっていて、それが菊輔師匠の人柄と妙にマッチしていて楽しかった。

扇辰師匠のトリネタは「野ざらし」。気持ち早口で聞き取りにくいのが…。「五代目小さん・孫弟子七人会 夜の部@霞ヶ関イイノホール」で聴いた時の「野ざらし」でも、若干感じていたが…。今夜のは特に。歌のシーンなどは最高に気持ちよいんだけどなぁ。