桂文治 自分のための落語会⑥ @らくごカフェ
前座・桂たか治:「芋俵」
桂文治:「二十四孝」
-仲入り-
春風亭昇也:「庭蟹」
桂文治:「酢豆腐」
落語界の大名跡を受け継いで充実の一途をたどる、桂文治師の独演会。もう、文治ギャルズたち(妙齢の女性の方々)が笑う笑う。俺は初めての桂文治師の独演会だったが、相当の常連客たちに支えられている模様。
前座は文治師匠のお弟子さん、たか治さんで「芋俵」。たか治さん、初めて観た。一度見たら忘れられない高インパクト。芸人としてはお得なお顔立ち。似顔絵も描きやすいね。
文治師は「二十四孝(にじゅうしこう)」。 粗暴な主人公の振る舞いを大家さんが嗜め(たしなめ)、その乱暴っぷりの矯正に学問の力を頼るという噺。前半のストーリーは「天災」と共通。
「母上」の件、「王祥(鯉)」の件、「孟宗」の件、「郭巨(赤ん坊)」の件、そして最後が「呉猛(蚊)」の件と、これでもか!これでもか!と複数のシーケンスが連続して語られていく。
下手な噺家さんが演ると確実にだれてしまうのだろうが、文治師匠は上手いので、どんどん引き込まれて、噺に無理なく付いていくことができる。
続いて、ゲストの昇也さん。師匠・昇大を引き合いに出した面白鉄板枕で、文治師匠以上の笑いをどっかんどっかんを。話術の巧みさは健在。素晴らしい。一気に文治ファンを取り込んでしまった。勘も働く昇也さん。
で、肝心なのは落語の方。「二十四孝にも酢豆腐にもつかない(共通点のない・ダブらない)噺は、これしかありませんで」と、以前の「グズグズ寺」で卸した「庭蟹」を話し始める。
これがまた、磨かれててねぇ。スパン!スパン!と客の中にハマって行く。次第に大きくなる笑いの渦。あん時は生まれたての子蟹が「親庭蟹」に成長中なのだぁと感じる。これはもう、師匠(文治師にも昇太師にも)に勝るとも劣らない爆笑。流石だわぁ。テイトの勉強会にも行きたい。
最後は「酢豆腐」。言わずと知れた「ちりとてちん」の江戸版。いや、「ちりとてちん」が「酢豆腐」の関西版というのが正確なのかな。とにかく「酢豆腐」。これを丁寧にフルバージョンで、つまり本寸法で。「酢豆腐」の途中で、聞いたこともないような落雷の音。忘れられない噺、忘れられない落語会になりました。
個人的には、大元のネタであるって事より、単純にシンプルで面白いって観点から「ちりとてりん」のほうが好みかなぁ。長屋のみんな~って「寄合酒」的な噺には、さほど面白みを感じない。
こんなことを言えるのも、それぞれの噺の後の文治師匠による解説があってこそ。この会が人気あるのも納得だぁ。
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