たまご祭り2014@池上・実相寺
第一部
古今亭駒次:「はじめての自転車」
桂宮治:「棒鱈」
柳亭小痴楽:「大工調べ(上)」
第二部
雷太・吉幸:コント「献血お願いします」
瀧川鯉〇:「たらちね」
神田きらり:「寛永宮本武蔵伝 狼退治」(04話目)
春雨や雷太:「噺家と幽霊」⇒寄席踊り「おてもやん」
入船亭小辰:「蝦蟇の油」
オークション
第三部
古今亭志ん輔: 「もう半分」
立川吉幸:「大安売り」
古今亭志ん八:「犯人は府中にいる
二つ目芸人予備校、二つ目芸人虎の穴、古今亭志ん輔師匠主宰「たまごの会」恒例の「たまご祭り」が今年も開催。「たまごの会」は何度も来ているが「たまご祭り」はお初。お昼を食べて、池上実相寺へ。
受付(雷太さん担当!)を済ませ、入場するとすると玄関ホールではお弁当と焼きそば、アイスが!げげ!さっそく大勢のお客様が受付を済ませて、お寺境内内の大ホール、畳の間でお弁当食べてる。あー、俺もここで買って腹ごしらえすれば良かった。
小痴楽さんや駒次さん、小辰さんらがブース(ってほどじゃないけど。机広げて)展開。距離が近くてうれしいけど、恥ずかしすぎて照れ屋の俺には近づきがたい。平気な顔して談笑中の連れを尻目に、会場へ。ああいう、コミュニケーションスキルがある人がうらやましい。
さて、高座。
駒次さん。京都での面白枕から「はじめての自転車」。このネタもこなれてきたなぁ。他の仕事があるから開口一番。軽めの噺でスタート。駒次さん、俺、ちゃんと、カオハメハ大王に顔ハメして写真撮ったよ!
久しぶりに聴く宮治さん。合い入れなさは相変わらずだが、さらに磨きがかかった爆笑「棒鱈」。芸者のいちいちの悪態(舌打ちとか、陰口、独りごと)が面白い。宮治さんの性格から出ているから、しっくりきて面白いんだろう。だけど、それだけに今一つ俺とは合わないんだよなぁ。面白いけど残念。この手のタイプが本当に苦手なんだ俺。喜多八師匠の言うところの「客と芸人との相性」ってやつです。
小痴楽さんは今年の春のたまごの会でネタ下ろしに失敗した「大工調べ」。いわゆるリベンジ。ちなみに、こんときかけたネタが「磯の鮑」。さいっこうに面白かった。噺を戻す。
「大工調べ」リターンズ。小痴楽さんのは、与太郎が棟梁(とうりゅう)と一緒になって喧嘩相手の大家に文句とお祝いを言うところまで。いわゆる(上)まで。生きのいい若手らしく、威勢のいい小痴楽さんらしく、トントントンと棟梁の啖呵では来場者から拍手喝采。もっと聞き取りやすいと(もっと滑舌がいいと)もっといいけどね。小痴楽さんが機嫌よいといいね。こっちまで明るくなる。
第二部は「急に志ん輔師匠に言われまして…」と雷太さん吉幸さんがコント「献血お願いします(俺の勝手な名づけ)」。前にやったネタとは言え、アドリブを交えながら即興で進めていけるってのは流石は芸人さんだなぁ。吉幸さんがオチを間違えたけど、お祭りだしご愛嬌。よい色物の差し込みになりました。
前座の鯉〇さんは噺をしないのかなぁ、と思っていたので思わぬプレゼント。話し始めて扇子が壊れて、小痴楽兄さんが障子の隙間から扇子を投げ入れてくれたりして。「(急遽困ったときでも、こうして助けてくれるんだから)長屋はいいねぇ」なんて機転の効いたアドリブが飛び出すあたり、センスを感じた「たらちね」。これまたサゲを間違えたけど、これもご愛嬌。
きらりさんは「寛永宮本武蔵伝(全17話)」のうちの第4話「狼退治」を。颯爽と。
雷太さんは先日のテイトと同じ「噺家と幽霊」。(違う噺が良かったなぁ)と思いながら聴いていたけど、今日の方が断然に抜群に良かった。ぐいぐい引き込まれ、とても面白かった。お客さんとの相性もあるだろうし二度三度聴いても楽しめるネタ(しかも他の噺家があまりやらないの)は金の稼げる武器になるね。おまけで寄席踊り「おてもやん」。芸達者で素敵です。
小辰さんは枕がどんどん面白くなっていく。真面目一本やり(硬派、顔が固い)な印象だから(俺だけ?)、こういう傾向は良いと思うんだ。「蝦蟇の油」。巧いのはわかってるから安心して聴いていた。客の期待値が高いだけに大変だろうけど、真面目一本やり(硬派、顔が固い)な印象だから(俺だけ?)、酔っ払いとか、その手の砕けた人物像をどう小辰流に処理して行くかではないだろうか。緩急の「緩」のほうね。
オークション。故・痴楽師匠の風呂敷には惹かれた。生地も素敵だけど、浴衣とかそういうのがあってもよかったなぁ。無理かな。駒次さんの手作り人形には笑った。器用な人。
さぁて、いよいよ落語マラソンの最終コーナー、第三部。完走間近。
志ん輔師匠が登場。登壇して2秒で心をわしづかみにされた。「千住の」って一言発しただけで、会場の空気を一変させちゃった。上手い真打ってのはこれだからすごい。ものすごい。
みんなね、(今日はお祭り。志ん輔師匠は被り物かぶったりして、盛り上げ役やったり、剽軽に振る舞ってる。さて、いよいよ志ん輔師匠の高座だ。今日はなにをやってくれるのかなぁ。わくわく!)みたいな心持でいたと思うわけよ。察するに。
で、ひょこひょこ歩いてきて、枕も振らずに(時間が押してたからじゃない)、いきなり「千住の、小塚っ原に」と来たからもう、会場は水を打ったようにシーーーーーンとしちゃった。静かな会場がもっと静かになっちゃった。満席の大広間を一瞬にして支配した瞬間。空気がヒリヒリしている。できる人ってのは、本当にすごいなぁと思っちゃいました。志ん輔師匠の「もう半分」。背筋がぞぞっとなったのは会場のクーラーが効きすぎてたからじゃない。「もう一回」と言いたくなる、もう一回聴きたくなる良質高座でありました。二つ目とはやはり力量が違いすぎるわ。
吉幸さんは「大安売り」。でもサゲが「そんなにまけるのなら四股名を、大安売りとしたら良かろう」じゃなかった気がする。俺がボーっと聴いてたからかな。
トリは志ん八さんの新作落語「犯人は府中にいる」。
あー落語マラソン完走の充実感と(心地よい)疲労感。楽しかったぁ~~。一日中お祭り寄席に居た気分。志ん輔師匠をはじめ、こういう素敵な落語会を開催してくれた主催者のみなさんに感謝感謝です。
★マーケティングの視点★
「たまごの会」。若手育成という趣旨が明確なのがいい。「実相寺」というお寺さんが会場ってのがいい。噺家さんたちと距離が近いのがいい。志ん輔師匠の想いがいい。主催運営のみなさんの心意気がいい。とってもとっても気持ちの良い会。俺の本格的な落語ライフは、この「たまごの会」から始まっていると言っても過言ではないので、重ねて関係者・知人の皆様には改めて感謝申し上げる次第です。
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