09月中席夜の部「柳家喜多八」主任興行「喜多八 十夜」@鈴本05日目(仲日)
林家あんこ:「初天神」
柳亭こみち:「旅行日記」
和楽社中:太神楽曲芸
橘家圓十郎:「目薬」
春風亭一朝:「短命」
柳家小菊:粋曲
宝井琴調:「清水次郎長伝(お民の度胸、石松の最後)」
春風亭百栄:「さんま火事」
-仲入り-
大空遊平・かほり:漫才
柳亭燕路:「ろくろ首」
ダーク広和:奇術
柳家喜多八:「盃の殿様」
今日は早めに松坂屋に行き、「深川太郎」のお弁当を購入し、開場前鈴本に並んで5番目に入場!抜かりはありませんぜ!押忍!大好きな定番座席「ろ-16」に着席。
開口一番は林家しん平師匠の二番弟子・あんこさんで「初天神」。声が小さく早口。あんこさん以外の前座さんは誰だろう。太鼓がとても上手い前座さんが居たのだ。
こみちさんは「旅行日記」。喜多八師匠の持ちネタ、得意ネタ。医者の名前が小三治の本名、郡山剛藏(こおりやまたけぞう)だった。なので推測。喜多八師匠に教わったんだとしたら嬉しいな。たいてい、落語を聴くと腹が減るもんだが、この噺だけは別だ。鶏鍋・豚鍋言われても、ちっとも。その分、笑えるわけだが。どんどん上手になるこみちさん。俺が聴きに行きたい女流噺家は、こみちさん。あなただけです。
先日、左腎細胞がんで翁家和楽師匠が亡くなってから初めて観る新生・和楽社中。小楽・和助・小花さんの新3人体制。小花さんの表情はまだ硬いけど、早くこなれたトリオ芸が観たいです。がんばれ!新生・和楽社中。
圓十郎師匠は「目薬」。師がやると艶笑噺も滑稽噺一色に。お得な仁(にん)ですな。
今夜の一朝師匠は「短命」。安心安定の一朝ブランド。ですが、大好きな昇也さんの「長命(=短命)」とはやっぱり違いますね。正直、昇也さんの「長命」の方が俺は好き。
今夜の小菊姉さん。欽来節⇒「寄席のスタンダード・ナンバー への八番」蛙ひょこひょこ ⇒長崎ぶらぶら節⇒淡海節⇒気前がよくて⇒櫓太鼓(櫓太鼓を三味線で再現するという速弾き)⇒相撲(角力)甚句。櫓太鼓、特にかっこいいす。「かたさせすそさせ」ってコオロギの鳴き声が聞こえるなんてね。
琴調師匠。今夜も英語禁止の枕を皮切りに、初めて聴く刑務所慰問の話から侠客へ。今夜も清水次郎長伝。ただし、今夜のは「清水次郎長伝(お民の度胸、石松の最後)」。お民に「だめよぉ~ダメダメ!」って言わせるなんざぁ、流石ですね。どんどんファンになって行きます。
百栄先生は「さんま火事」。師は秋になるとこの古典をかけるのが定番なのだそうだ。予定時間を超えてたっぷりと。緞帳故障か喜多八師未到着を理由に時間引延しを指示されたから?と踏んでいるが真実は薮の中。先日の菊龍師匠の食欲刺激版「さんま火事」とは違う趣の、「古典派百栄」もまた素敵なんだこれが。
緞帳トラブルで出番まで少々時間が。ようやく出てきた遊平・かほりはトラブルを笑いに変えていつものネタ。俺が観た中では一番受けていた。
燕路師匠は「ろくろ首」。手練れ感で笑いもたっぷり。愛嬌のある笑顔が(失礼ながら)たいへん可愛い。栄枝・百栄の親子会@巣鴨も好評なんだから、燕路・こみちの親子会も是非!どなたか実現させてください!万難を排して参加しますゆえ。
伊藤夢葉先生の代演は好きなマジシャン、ダーク広和先生。「WIRED」愛読者と知り益々好きに。ダーク先生の、あの特有の芸風。もっとウケてもいいと思うんだがなぁ。最前列の女性客と俺だけしかわかってなかった。ような印象。もったいない。
最後。直前まで小ゑん・喜多八「試作品」Try88に出ていたトリの喜多八師匠。やはりお疲れな印象。何時に鈴本入りしたのかな?実際、「試作品」で「盃の殿様」をかけていた。さらっていたのですね、師匠。
その甲斐あってか、噺のクライマックス、渾身の言い立て(九州から江戸・吉原まで、盃を持った使者がひた走る順路を延々と喋くり倒す)にも成功。終わると拍手が起きました。ぶらぼー!師匠
途中、お殿様が通ぶって職人の格好に化け、片手に煙管を持ち、「おい、棟梁!」かなんか、下手なべらんめぇ口調で話すシーンも面白い。(この件は小さん流らしい)
書籍「柳家喜多八膝栗毛」の中で、一番の得意ネタと記す「盃の殿様」。聴かずに死ねるか。
で、最後の最後にハプニング。サゲを言って落として、太鼓が鳴って緞帳が下りて…と行くはずが、大きな音を立てて緞帳が急行落下。ドスン!バタン!埃が舞う舞台。緞帳と高座の間に距離があるとはいえ、相当の急降下。喜多八師匠に怪我がなくて何よりでした。
にしても緞帳落下事件にも関わらず怪我もなく、盃の殿様がバカづきの殿様で一安心。オチのぼんやりした噺(まごまごしてると明治維新になっちまった。=明治維新になってもまだ探し回っていた)だけに緞帳落下で、くっきりとしたオチがツキましたか。軽口叩いて、すみません。冗談言える程度の事故で本当に良かった。
帰宅して、盃の殿様を真似て日本酒。盃は持ってないので、お猪口の俺様。
殿、明日も聴きに行きます。
★マーケティングの視点★
喜多八ブランドは健在。ますます強くなっていくのではないか。
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