成城超成金 ぜ~んぶネタおろし!第3回 夜の部
桂 宮治:「悋気の独楽」
桂 伸三:「笠碁」
春風亭昇々:「宿屋の富」
瀧川鯉八:「青菜」
笑福亭羽光:「私小説落語~思い出のプリクラ編~」
相変わらずの宮治節な「悋気の独楽」。個人的に雷太さんのイメージが抜けない伸三さんは間の取り方がお見事な「笠碁」。伸三さんの人柄にあったネタ選びだと思いました。この手の静かな、“間(ま)”で聞かせる噺をさせたら成金一上手いのではないかと。
で今日一(きょういち)の時間だったのは昇々さんの高座。今日も袴姿で登場。で「宿屋の富」。どんなハチャハチャな高座になるのか、いつも通り期待半分不安半分で見ていたわけですが…。これが、もう最高に面白かった!おかしかった!
困った人(いろんな意味で)と、その反対側に居る困っている人(困った人に迷惑を被っている側の人)をさせたら、二つ目界で右に出るものがいないのではないか!と唸る位の面白さ。以前から病的なまでの、クレイジーな、狂気を感じる、ちょっとタガの外れた、奇天烈な人をさせたら…とは思っていましたが、いやぁ、昇々さんの過去高座の中でも今日がピカイチだったのではないでしょうか。ご本人はマクラで「この成城超成金で下したネタは、以後かけることがなく(しっくりこないから、掛け捨てになる事が多く?)」なんておっしゃっていましたが、なんのなんの。これは今後も方々で掛けてお金を獲れるネタでしょう。素晴らしい。
「ねの一三六五」番の富くじが当たったとよ~うやく気づいた主人公の一文無しの「あたた!たたたたたた!あたた!あたたたたたたたた!」が何と言ってもカタルシス。これまでの伏線というか緊張感が一気に崩壊、ゲシュタルト崩壊していく様は愉快痛快。また聞きたい。
鯉八さんの古典が聞けるのはこの会だけ(?)。鯉八センス+古典で見事な化学反応を起こした「青菜」。掛け捨てなんですか?もったいないですね。鯉八さん初体験の人でも虜にできるでしょうに。「ところで植木屋さん!」「植木屋じゃねぇ!大工だっつってんだろ」の天丼(繰り返し)はわかっていても笑っちゃう。鯉八新作ではここまで聞けないし、江戸弁。鯉八センス+古典は、単なる改作というジャンルを超えた『鯉八古典』と名付けられても良いべきものかも。本人本意じゃないんだろうけど、『鯉八古典』をやれば簡単に「鯉八御殿」が立つと思う。
羽光さんの「私小説落語」。やりたいのね、やりたいんでしょうきっと。だから、あちこちでかけているのでしょう。「私小説落語」。最後のシーンの「(恥ずかしさで)死にたい!死にたい!」って下りが最高でした。
総じて超大満足の超成金夜の部でありました。いやぁ、大満足。耳もおなかもはらぱん。
ちなみに行けなかった昼公演は・・・
三遊亭小笑:「寄合酒」、神田松之丞:「黒田武士」、昔昔亭A太郎:「明烏」、柳亭小痴楽:「権助提灯」、春風亭昇也:「四段目」、春風亭柳若:「妾馬」