2017年09月号 サプリメント市場の成功例


サプリメント市場の成功例

 

サプリメント市場の中で抜きん出た、サントリーの広告戦略。

 

伝わる表現、消費者に届く言い換えが功を奏した「セサミン」に学ぶ。

 

 

■サプリ市場は3兆5000億円

みなさんは、サプリメントを飲んでいますか?今や、数限りなく存在するサプリメント。サプリメント市場のポテンシャルは3兆5000億円と推計する人もいます。

 

■成功事例「セサミン」

良く言えば、群雄割拠ですし、悪く言えば、似たり寄ったりで、どの企業も差別化に苦労。決定打に欠ける、もやもやした状況のサプリメント市場で、実に見事なマーケティングで成功を収めている商品は、そう多くはないでしょう。そして、その一つに今回着目した「セサミン」が挙げられます。

 

■「錆びない」という表現の妙

当時、「セサミン」は異彩を放ちながらデビューしました。当時のキャッチコピーには「錆びない」という表現が使われていました。この言葉を聞いて「人間のからだって錆びるの?」と感じたり、疑問に思った方は多かったと思います。恐らく、それが戦略だったのでしょう。それまでは科学的な根拠を示す表現としては「抗酸化(作用)」や「活性酸素」といった言葉づかいで、商品特性が語られていました。

しかし、サントリーが採用したセサミンの表現は「錆びない」でした。「からだが酸化する/老化する」といったニュアンスを「錆びない」と表現したのです。これほどまでにわかりやすい表現は、当時はありませんでした。プロスキーヤーの三浦雄一郎さんを起用したテレビコマーシャルも相まって、瞬く間に「セサミン=からだを錆びさせないサプリ」というイメージが浸透し始めました。

 

■科学的根拠を超えた優れた表現

「ゴマが、からだを錆びさせない」というのは、医学的にはあり得ない、妙な表現です。これを思い切って採用したサントリーはすごい。「強い抗酸化力」を、真っ先に「錆びない、錆びさせない」と言い換えた発想も素晴らしいと思います。この英断(?)が、先駆者特権(=市場一番乗りの優位)を生みました。

セサミンと聞くと、まずはじめに「錆びさせないサプリ」というイメージが先に来ます。決して「セサミンとは、ゴマ、米、麦などに含まれる脂溶性の抗酸化物質であるゴマリグナン類の一種です」といったような医学的・科学的根拠が先に来ません。

この、効果(医学)に囚われない柔軟な定義づけと発想が、いまのセサミンの成功を創りだしたのです。まさに、表現のリ・デザイン。

 

■わかりやすさはヒットの一因

セサミン以降、「老化=錆びる」というイメージ表現が定着したように思います。わかりやすさとイメージ先行。これも商品がヒットする理由のひとつです。MRDもわかりやすい企画を心がけています。(終)

 



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