カーネーション論再び

NHKの朝ドラ「カーネーション」が熱い。今日時点で昭和17年。戦時下真っ最中を描いているのだが、その描き方が独特なのです。

 

悲壮感ばりばりで、こんなに辛い目・恐ろしい目に遭ってるけど、けなげに耐える・生きる・がんばる。ってのが、一般的であり、これまでの大多数的な表現だったと思うのですが、「カーネーション」は違う。

 

ブルドーザーのような性格のたくましいヒロインの目を通して戦争が、ただただもうウットオシイ、“うざいもの”として描かれている。全国各地に、こんなような感じ方・捉え方をしていた人も当然居ただろうが、こんなフィルターを通して描かれたものを個人的には観た事がなかったので、非常に新鮮な気持ちで見ています。

 

(それに爆弾どかんどかん、死者続出みたいなリアルさはもうごめん、おなかいっぱいです。特に朝ドラには。今後もあまり表現されない事を期待します。最小限度にとどめてね。)

 

さらに、ヒロインの性格と描かれ方も特異。明るく困難に負けずにけなげ且つたくましく生きる戦前戦後生き抜いた女性。というステレオタイプじゃないのがすごい。

 

明るさや強さ、前向きさだけじゃなく、無邪気さの裏に潜むKYさとか鈍感さ(現代なら「鈍感力」と言われて礼賛される)、前向きであることで他人を傷つける弱点~戦争で心を病んで除隊され還って来た幼馴染に対し、良かれと思ってしたこと(がんばれ!がんばれ!の大合唱)が欝症状、PTSDを増徴させる結果になる~、自己を正当化して謝らないなど、ヒロインのマイナス面も描いている点も非常に素晴らしいと思います。

 

(現代の生活に置き換えて考えられるシーンがいろいろある。戦中を描いていても、現代・日常にリンクしている点もお見事)

 

主人公の成長過程として未熟さを描いた(未熟さゆえに失敗もしてきたけど、もう間違わないような大人の女性に成長したわ!ごめーんね。てへぺろな)ドラマはいっぱいあれど、ここまでマイナス面・欠点(長所の裏返し)を真正面から堂々と描いているのは、そうそうない気がして仕方がありません。

 

一言で言って大変おもしろい。「家政婦は見た」の10倍、「家政婦のミタ」の100倍おもろいドラマだと毎朝毎朝釘付けになっているのであります。