トムソーヤのペンキ塗り

先⽇、「トムソーヤのペンキ塗り」という⾔葉を知りました。

 

マーク・トウェインの有名な⼩説のタイトルでもあり、元気とアイデアに満ちた主⼈公の少年、トム・ソーヤ。ある⽇トムは、いたずらをした罰に、おばさんにペンキ塗りを命じられます。

 

最初はペンキ塗りを“やらされていた”トムですが、途中で友達がきたところから態度を変えます。通りがかった友達に⾒せつけるように実に“楽しそうにペンキ塗りを始めた”のです。楽しそうにペンキを塗っているトムを⾒て友達は「やらせてくれよ」とお願いしてきます。トムは、もったいをつけて「ペンキ塗りをやらせてあげ」ます。しかも、フルーツやおもちゃまで報酬として受け取って。

 

「こんなに楽しいことをキミになんかにさせられないよ。僕だけで独占したいんだ。でも、仕方がないなぁ。それほどまでにお願いするのなら、させてあげてもいいよ。」といった具合に。

 

 

そう、これはいま思えば、ダチョウ倶楽部の定番ギャグのようではありませんか。
肥後「俺がやるよ!」
寺門「いや、俺がやるよ!」
⻯ちゃん「俺がやるよ!」
肥後&寺門「どうぞどうぞどうぞ」
みたいな図式です。ちょっと違うかな(笑)

 

ところで、このお話の教訓は、なんでしょうか。「嫌な事でも楽しんでやれ」でしょうか。「嫌だとおもうから嫌なのであって、好き・楽しいと思えば、たいていことは楽しくなる」でしょうか。「視点を変えると価値が⾒えてくる」でしょうか。それとも「世の中の課題や問題はたくさんあるけど、楽しみながら解決していけるアイデアは必ずあるはず」でしょうか。「自分が嫌だと思ったことには⼈も集まらないし、手伝ってもくれないが、自分が楽しいと思うことには⼈も集まり、伝ってくれる」でしょうか。いまはやりの「ゲーミフィケーションの元祖」でしょうか。

 

どれも正解だと思います。そしてさらに付け加えると、これは「三方よし」であるということです。三方よしとは近江商⼈から現代にまで受け継がれる商売の理念。今風に⾔えば、普遍的なマーケティング理論。

 

『売り手よし・買い手よし・世間よし』。この3者ともがハッピーになるのが正しい商売、理想的な商売だということです。

 

ペンキを塗って欲しかったおばさん/ペンキ塗りを命じられた当事者のトム/トムにまんまとペンキ塗りを“楽しまされた”友達たち。このストーリーの中ではみんながハッピーです。

 

売り手と買い手だけでなく、発注者と受注者だけでなく、その取引が社会全体の幸福につながるものでなければならないとう意味の「三方よし」。あらゆる商取引、マーケティング戦略、事業展開が「三方よし」であればいい。そんな風に願いますし、また、そうあらねばならないとも思うのです。