一之輔の無茶ぶられ(其の四)らくご@座高円寺 

「一之輔の無茶ぶられ・その4」らくご@座・高円寺

 

オープニングトーク:無茶ぶられのお題決め
三遊亭天どん:「セミの声」
柳家喬太郎:「竹の水仙」※クスグリ排除バージョン
-仲入り-
春風亭一之輔:「鰻の幇間」※クスグリ排除バージョン

アフタートーク:やってみての感想。ここでの会話内容が良かった

 

<これまでの足跡>

其の一:初天神 → 初天神団子政談
其の二:明 烏 → 明だるま
其の三:不動坊 → 不動坊バラ園
其の四:「鰻の幇間」or「王子の狐」

天どん先生からの無茶ぶり

「鰻の幇間」=もっと身ぐるみはがされる/店の中がとにかく暑い/幇間が実は鰻

「王子の狐」=(なんだっけ?)/もうこれは普通にやっちゃえばいいじゃん

 

喬太郎師匠からの無茶ぶり

「鰻の幇間」=どっちでもいいから、クスグリなしで、噺だけでやる。噺の力だけで勝負。

「王子の狐」=フランス革命前夜、プリンスの設定で(?)

 

天どん先生。喬太郎師と一之輔師目当ての客が多いのだから「なぜ逆に、ド古典を演らなかったのか?」という気持ちになった。同じ変化球でも「セミの声」じゃなくて…。まぁ、それが三遊亭天どんらしいと言ってしまえばそれまでなのだが、生徒としてはなぁ。「星づくしの会」よりは良かったけど。三人してクスグリ無しで噺だけで勝負!ってなれば、もっと印象深い会になっただろうなぁと思った。

 

喬太郎師(もう今夜はキョンキョンでいいよね)の高座は数回観ているけれども、今回の「竹の水仙」(クスグリ排除バージョン)が一番良かった。心にぐっと来た。初めてキョンキョンの落語を堪能できた。俺が数回観た中では一番緊張感を持って真剣にやってる気がした。一之輔師の「鰻の幇間」にクスグリを禁止した手前、「よし、俺が手本を」あるいは「俺も同じ強健でやるぜ!」な気持ちが垣間見れたのが、観ていてうれしかった。

 

一之輔師の「鰻の幇間」。正直、全然物足りなかった。条件が違うし、もちろん比べることはできないが、「喜多八師匠の方が上手いよなぁ」と思って観てたら、アフタートークで「喜多八師匠に教わりました」と。やっぱりか。殿様や侍を演じても、幇間を演じても喜多八師匠は上手いからなぁ。逆に、子供は一之輔師の方が好きだ。

 

アフタートーク。喬太郎師と一之輔師の「笑い」「落語」についての本心(≒今風のクスグリを入れこんで笑いを取るのは簡単、古典を現代風にアレンジして笑いを取るのは簡単。これまでさんざんやってきて、今は少々食傷気味。お腹いっぱい。自分に言い聞かせる意味で、今回の無茶ぶりを提案した)が少し聞けたので、これだけでも価値ある会だと感じた。

 

落語の楽しみ方って「笑いたい」「笑わせてほしい」だけじゃないからね。なんつーか、噺家もサービス業(個人事業主)だからね。顧客に対して、いろんなサービスの仕方がってしかるべきだと思うです。だが、いやー本当に良い会だった。「初天神団子政談」は別の会で聴いたことがあるので、あとは「不動坊バラ園」を聴けたら文句なし。

 

三人の噺家(と、それを観て居た俺)の成長のポイントになるかもしれない、なったかもしれない会に居合わせたという共有感・共存感・特殊感があったから昨日の無茶ぶられは楽しかったのだよ。俺は強くそう感じたね。