第3回 円丈らくご塾@松一会館

円丈らくご塾@松一会館

春風亭昇羊:「金の斧 銀の斧」
三遊亭しあわせ:「半身半畳」
三遊亭玉々丈:「子役の旬」
夢月庵清麿:「時の過ぎゆくままに」
昔昔亭A太郎:「面会」
-仲入り-
三遊亭円丈:「聖なる我が家」
古今亭駒次:「夏」


会場入りしてチラシをもらってびっくり。(駒次さんが出る!とは知らなかった!ラッキー!)

昇羊さんは「金の斧 銀の斧」。以前誰かの会の前座で観たときは、もちろん古典。そのときはたどたどしいと思ったが、なぜか今夜は生き生きしていた。新作好きなのだろうか。開口一番としては、非常に面白かったですよ、「金の斧 銀の斧」。この設定は意外と誰でも考えられると思うので(実際、打上の席でも円丈師匠がアドバイスしていたが)、中身の展開(ボケとかストーリー展開)が重要になってくる。

しあわせさんは「半信半畳」。打ち上げ時でもみなさんから高評価。俺も納得。ただし俺的には小便の部分と、サゲは要検討。ただしただし、畳に半分埋まるという不思議な設定は、一度聴いた客の心をつかんで離さないだろうと思う。秀逸。「彼はいい。面白いとか面白くないとか以前に、若い人は客の心に残るくらいのインパクトある噺を掛けていくほうが良い。そういう意味ではもっと不思議なストーリーしても良かったのではないか/シュールさを通して欲しかった/もう一捻りあると良い/うんと冒険してみよう!記憶に残るハナシを作ろう!」と円丈師・清麿師匠とも高評価。

玉々丈さんは「子役の旬」。天どん先生のおとうと弟子でもあるので、がんばってほしいなぁ。「ストーリーや感情がうねっていない」とは師匠・円丈。

清麿師匠は「時の過ぎゆくままに」。新作落語然とした個性的な設定と、わかりやすいストーリー展開にどんどん引き込まれていく。盛り上がりの頂点に達した時からのカタルシスが微妙に肩透かし。サゲも「猫の皿」っぽかったのが、心残り。

「寄席ではかけない新作をやります」とやり始めたのが、この「面会」。A太郎さんのつぶやきやブログの文面・表現から個人的には「自虐的なひねくれ者の個性派。古典は普通。そんなには…」という平々凡々な印象だったが、今日の新作「面会」を聴いてびっくりしました。いままでA太郎さんの古典しか聴いたことがなかったので、どんなもんかいなと思いつつ、聴いていたが、お笑いハンマーでぼかんぼかんと殴られた。面白い!面白い!面白い!

たまたま出来上がったようには決して思えない、何度も掛けて磨いてきた感のある完成度。自虐的だが天どん先生とは違う。不思議な空気に包まれるが鯉八さんとも違う。天どんワールド、鯉八ワールドがあるように、“A太郎ワールド”も敢然として存在していると思いました。もっと新作を聴いてみたくなりました。あかぎ寄席ではやらないのかな?「良かったと思ったが厳しい意見も。無視するか受け入れるか。闘いだ。」とつぶやいてらっしゃいましたが、今夜に限っては無視して良い気がした。だって、ものすごく独自の雰囲気があって、おもしろかったもんね。(改善点無し!とまでは言わない。さらならバージョンアップを!)「サゲがイマイチ。そこを変えるともっと良くなる」と清麿師匠。「寄席と落語会をそんなに分けて考える必要はない/もっと好きなように作れば良い」とは円丈師。

円丈師匠は「聖なる我が家」。もう神様だから特筆事項無し。

トリの駒次さんは、今年の6月に作ったという「夏」。漫画「タッチ」にも似た?高校生の純愛ラブコメディ。駒次さんらしさを感じるのは「共感」という新作落語のレールから決してはずれないコト。「わかるわかる、ふんふん」という共同作業が構築されていくから、決して大外れしない。客を置き去りにはしない。コンスタントにヒット打てるイチロー、青木のような噺家さん。それが駒次さんであり、駒次ワールドなのではないだろうか。

次回は10/6(日)。さぁ、これからメールで予約するぞ。

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コメント: 5
  • #1

    やまちゃん (月曜日, 26 8月 2013 10:00)

    史上最速の詳細レポートありがたいです。楽しめました。
    新作落語は、当たりはずれがありますが当たったときの
    衝撃はやみつきになりますね。
    毎日楽しみにブログ見に来てます。

  • #2

    code-name-blog (月曜日, 26 8月 2013 10:18)

    やまちゃん さん

    いつもありがとうございます。なんか、その日の噺家さんのコンディションや、前後の顔付け、客層、客席の乗り、ネタの出来不出来、とか、いろんな要素・条件で、変わっちゃう不安定な面が落語らしくて好きです。一期一会、偶然性。

    「あー、その会、そんなに盛り上がったのかよ。行っとけばよかった」とか、「こんな会来るんじゃなかった」とか、「こんな面白い噺家さんを発見した」とか、「俺、こいつ嫌い」とか。

    落語評論家にはなれないので、単なる落語会感想家ですが、落語最高!

  • #3

    code-name-blog (月曜日, 26 8月 2013 10:19)

    あ、落語だけじゃなく、講談も最高!

  • #4

    やまちゃん (金曜日, 30 8月 2013 07:42)

    講談良いですよね。コメントを書く場所が違いますが、松之丞百席のブログで、連続講談の演目を詳しく書いていただき、ありがとうございます。講談初心者なので、大変参考になりました。松之丞さん、いつも素晴らしい高座ですよね。松鯉先生も素晴らしいす。
    今日の遮二無二武蔵、仕事で行けずガッカリ気味です。

  • #5

    3uttd (金曜日, 30 8月 2013 08:21)

    やまちゃん さん

    俺も講談初心者です。というより、今年から松之丞さんに惚れこんで真剣に聴き始めた松之丞ファンです。その他、女流講釈師のかた数回、松鯉師匠数回しか経験はありませんが、松之丞さんはすごいですね。なんか、すごい。途中参加ですが、「松之丞百席」は欠かさず観つづけよう、見届けたいと思っています。