第36回負けてたまるか 柳亭小痴楽vs瀧川鯉八with三遊亭小笑@道楽亭

第36回負けてたまるか 柳亭小痴楽vs瀧川鯉八with三遊亭小笑@道楽亭

瀧川鯉八:「暴れ牛奇譚」
柳亭小痴楽:「宮戸川」
三遊亭小笑:「粗忽長屋」
-仲入り-
柳亭小痴楽:「両泥」
瀧川鯉八:「わきまえる男」


鯉八さんは開口一番、「暴れ牛奇譚」。前半の長老と福長老の件、後半の核、民子とレイちゃんの件。何度聞いてもおかしい。これはこれで完成。(と鯉八ファンの俺は思っていたが、「オチがわからない」という他のお客さんの意見も。打上で)

小痴楽さんは「宮戸川」。二度目くらい。前半は乗りきれてなかったけど、得意な噺だろうから、後半はのりのりに。半七とお花のやりとりよりも、おじさんとおかみさん(ばあさん)のやりとりのほうが面白いのが小痴楽流か。ちなみに「帯に両手をやり、ぐぐっと押し下げる仕草が超かっこいい」と打上でご本人に伝えた。あの仕草、いろんな噺家さん(当然、真含め)がするけど、小痴楽さんほどしっくりする人は居ない。

小笑さん、飛び入り参加で「粗忽長屋」。グズグズ寺で聞いた「唖の釣り」とか「松山鏡」のほうが良かった。個人的に「粗忽長屋」自体にほとんど面白みを感じないというのもあるけど。

仲入り後の小痴楽さんは「両泥」。これも二度目かな。若旦那もいいけど、泥棒とかワルのほうがしっくりくるのは、ご本人の出自によるものか。得な人格。

鯉八さんは初めて聴く「わきまえる男」。鯉八さんは「最初に聴いてお客さんに理解してもらって、わらってもらえないとだめでしょ」とおっしゃっていたが、俺は鯉八さんに関しては、ちっともそうは思わない。この噺も二度三度と聞いて、可笑し味がじんわりじんわりと沁みてくるんだと思う。「暴れ牛奇譚」や「ある組織」とかは逆に言うと例外的な噺なんじゃないかな。兎に角、歴史に例を見ない不思議な噺家であり、唯一無二の鬼才であると確信していますので、今後も、鯉八世界をぜひ極めて欲しい。師匠連や客の意見など聴いてほしくない。「僕はこう思う」ってだけで、がんがんに突っ走って欲しいのです俺は。

本人いわく、「僕が一番好きなのは『それそれ』」だそうです。『それそれ』も『藪の中』も『わきまえる男』も何度も何度も高座にかけてくださいとお願いしました。

なお、「グズグズ寺のレギュラーになってください」とお願いしたところ、「(グズグズ寺は月1回、新作をネタだしするのがルールなので)新作派の僕にはハードルが高い」とのこと。納得。それは大変。でも俺は敢えて(粗製濫造というと酷いかもだけど)粗々な新作をガンガンかけて磨いていけばいいのではないかなと思いました。

まだ聴いたことのない『雨傘和尚』・『笑う太鼓』(打ち上げで鯉八ファンにぜひ聞くように薦められた)も聴いてみたいなぁ。

超楽しい時間でした。初めて鯉八さんと話せたのも感激。俺に力があったら、このような大好きな二つ目さんたちに高座の機会(客前で話す練習の機会)を提供するんだがなぁ。