壽・真打昇進襲名披露興行~三遊亭天どん@鈴本

壽・真打昇進襲名披露興行~三遊亭天どん@鈴本

古今亭駒次:「生徒の作文」
柳家小せん:「黄金の大黒」
三遊亭白鳥:「アジアそば」
古今亭志ん輔:「夕立勘五郎」
三遊亭円丈:「金さん銀さん」
柳家さん喬:「天狗裁き」
柳家三三:「看板のピン」
-仲入り-
口上:下手(左)から志ん輔・天どん・円丈・さん喬
林家二楽:紙切り(鋏試しの「桃太郎」。「鏡獅子?」「天どん」「木綿豆腐」「絹豆腐」)
桃月庵白酒:「だくだく」
柳家小菊:粋曲
三遊亭天どん:「巣鴨のうわさ」

駒次さんの高座途中に到着。

噺家さんにとっての区切り、門出はやはり、寄席での披露興行なんでしょうね。ただ個人的な「お祝いムード最高潮」だったのは成城ホールだったので、今夜は相当冷静に聴いたり眺めていました。全体的にはお祝いムードむんむん満載で、よろしかったんじゃないでしょうか。

俺が一番笑って盛り上がったのは志ん輔師匠の「夕立勘五郎」。「たまごの会」での志ん輔師匠とも、国立演芸場での志ん輔師匠とも、なんか違って見えて(お祝いムードでアゲアゲだったのかな?)、すんごく楽しめました。「夕立勘五郎」という珍しい噺でもあったしね。いっときは欠かさず行っていた「たまごの会」ですが、最近、ご無沙汰なので、次回は久しぶりに行ってみようかな。こないだの「たまごの会祭り」にも行かなかったしなぁ。

三三師匠の「看板のピン」は。数度目ですが、前半(静)と後半(動)の落差が巧すぎて。俺の妄想ではありますが、なんだか(待ってろよ、いまは前半で大人しい調子だけれども、後半にオセロの駒をひっくり返すがごとく、どっかんどっかん笑いを取りにいくぜー)という心の声が聴こえて来そう。

噂の白酒師匠の「だくだく」を聴くことができたのも収穫。噂に聞いていたとおりで、サゲに向かっての盛り上げ方がすごい。吹き矢に忍者に煙玉に、もうゲラのゲラ。白酒バージョンの「だくだく」は笑い過ぎてくたくたになる。

小菊姉さんの粋曲。去年、志ん陽・文菊真打披露興行@池袋で聴いて以来。百戦錬磨で、あらゆる球(酔っ払いの難癖)を跳ね返す(あるいは避ける)ことができるスキルを持つ。というような佇まいが超かっこいい。大人の女感満載。溢れんばかりの粋。新内も端唄も俗曲も都々逸も、まーったく知らないけれども、なんだか『習ってみたい!』と思ってしまうから恐ろしい。そうだ、思いだした。確か俺、小菊姉さんの三味線を聴いて『三味線、習ってみたい!』と思ったんだった。当時は、その後、津軽三味線に心がなびいたけれども、こうしてまた聞くと、こっちのほうが良く聴こえるなぁ。

「さん喬師匠が『蓼食う虫も好き好き』だ。って言ってたよ」と誰かが高座で。瞬間的に「俺たちは虫か。先生は蓼か」とも若干不満に思ったが、冷静に考えるとそうかも知れない。

本寸法の担い手は他にも大勢いる。先生は恐らく“変寸法”の担い手なのだ。

 

*終演後はグルメ先輩と夜の上野・湯島界隈へ。最初の目的店がNGだったため、しばらく良店探しに徘徊。諦めかけたところで、先輩の目と鼻が敏感に反応した店発見。大正解。さすがは、この手の授業料をたくさん払っている人は違うなぁ。ここは必再訪店。