第13回グズグズ寺(寺入り前)@らくごカフェ

第13回グズグズ寺(寺入り前)@らくごカフェ

オープニングトーク
三遊亭小笑:「ろくろ首」
神田松之丞:「大黒屋入婿」(畔倉重四郎)
-仲入り-
春風亭柳若:「宗論」
春風亭昇也「湯屋番」


久しぶりの「グズグズ寺」。なんか、ほっとするわぁ。なんか、ほっとする。昨日が披露目の会で、お祝い感と緊張感と待ち受ける感などが入り混じった感情密度の高い空間(悪く言えば感情気圧が高くて息苦しい)だっただけに、なおさら、ほっとしました。

ネタおろしで“グズグズ”しちゃいます…ってのがグズグズ寺であるわけなんですが、それでもみんな割としっかり稽古してきていて。無論、“グズグズ”してるところも多々あるわけなんだけれども、若い二つ目さんの前向きさと真摯さと気持ちが感じられて。緩と急、凸と凹などバランスもとれていて。

で、オープニングトーク。恒例の“小笑さんいじり”から始まって、ツイッターの話などに。こういうところで書くことができない話をしてくれるのが、生落語の良い所。たまらんなぁ。

小笑さんは、相変わらず、絞め殺されかけてる人の声みたいに絞り出すような感じで一席。「ろくろ首」。オープニングトークで松之丞さんにサゲを言われてしまうという試練。(下げを変えてくるのかな?)と思っていたら、愚直なまでにそのままでした。さすがです。ぶれない男。「コチフェス2013夜の部」でも書いたのですが、なんか気になる感が半端ない。(この噺家さんが、今後、どう変わって行くのか、見届けたい)感が半端ない。甘苦い感じ。あのギザギザした声は一度聴いたら忘れられないよ。

松之丞さん。俺の大好きな畔倉重四郎シリーズから「大黒屋入婿(だいこくやいりむこ)」。グズグズで「栗橋の焼き場殺し」を聴いて以来、松之丞さんファンになった俺としては、その続編ですからたまりません。ストーリーの興奮度は「栗橋の焼き場殺し」のほうがすさまじかったけど(これを超える興奮回はあるのかだろうか)、その大興奮の話の次だから、ちょっと大人しめなのは当然でしょうね。絶好調!な印象ではなかったけれども、レベルの高い松之丞さんだけに、さすがの圧倒高座。今夜も話の途中で背筋に電流が走りました。

柳若さんは「宗論(しゅうろん)」。これまで何度も柳若さんを聴いていますが今夜が一番笑った、可笑しかった。もともと、“外人口調でカタコトで話す”という設定になじめず、あまり笑ったことがなかったのですが、「宗論」でこんなに笑ったことがないというくらい笑った。真打の方の「宗論」も含め、何度も聴いていますが、それでもこんなに笑ったことがないというくらい笑った。柳若さんと「宗論」は相性がいいのだろうか。

昇也さんは「小痴楽兄さんから習った」という「湯屋番」を。以前のグズグズ寺での「だくだく」がぐだぐだだったのに対し、今夜のは完璧に近く仕上げてきていた感が。面白かった。「長命」よりも昇也さんの十八番になる気がしました。この手のポップな噺は超得意なんだろうなぁ。あと、要所要所に“小痴楽さんの湯屋番”エッセンスがあって、そういう点も楽しめましたよ俺は。こんなこと言うとあれですが、小痴楽さんの湯屋番よりもおもしろかった。個人的な技量がぐんぐん上がってきているのか、昇也さん!すごい。

すべて聴き終えて。まだグズグズ寺を聴き始めてから半年ですが、なんか4人とも巧くなっているのがわかって、こっちもうれしくなっちゃいました。まだまだ先は長いですが、継続は力なりでがんばってほしいです。おっさん(俺)も、見習ってがんばらないとなー。若い人を褒めてる場合じゃないよ。俺もまだまだなんだからさー。あらさー。もとい、あらふぃふ。