第4回 円丈らくご塾@松一会館

三遊亭円丈&三遊亭わん丈:オープニングトーク
三遊亭わん丈:「隣の芝」
桂竹のこ:「メイド喫茶ヨネ」
柳家花いち:「幸せって」
柳家小ゑん:「ほっとけない娘」
笑福亭笑子:「パペット落語 めざせゆるキャラNo.1」
-仲入り-
三遊亭円丈:「新・ガマの油」
春風亭昇々:「最終試験」


オープニングトークでは松一会館ならではの御馴染みの前説と、円丈師匠の新書「落語家の通信簿」の宣伝も。

わん丈さんは「隣の芝」。円丈DNAをビシビシと感じた。わん丈さんいわく「人のものを欲しがる」という構想は出来ていたが転がし切れなかった。設定は師匠からの提案」。やっぱりな。

竹のこさんは以前、古典を聴いて面白いなぁと思っていたのだが「メイド喫茶ヨネ」。設定が普通(新作ではありきたりな印象)なので、今一つ。円丈師匠「メイド喫茶はありがち。もっと奇抜にした方が良かった」。小ゑん師匠「今時のアキバはもっとすごいのがある。逆に日常が萌えるという考え方もある。甘い思い出とか」

初めて聴く花いちさんは「幸せって」ってタイトルの噺。小ゑん師匠いわく「いっそ変なカップルにしちゃえば?そしてそれを聞いて父親が本性表すとか」。花一さん曰く「自分が書く話は恋愛ものが多い。オウム返しが多い」。円丈師匠「これからは恋愛ものはいいんじゃない!?私はオウム返しは避けているけどね」。清麿師匠「古典はオウム返しが多い。昔は、新作はあえて(古典にあるフォーマットは)しないという風潮があった。新作は、古典からどれだけ離れることができるかという。そんな感じの時期もあった。が今は何でもあり」。ちょっと早口だったけど、面白かったです。特に会場の女性客によく受けていたと思われます。

小ゑん師匠。「この『ほっとけない娘』は原作があります。落語台本募集でのもの。それに手を入れて、最近高座にかけはじめました」。70~80%も手を入れられて変えられてしまうのはどうかと思うが、俺も自分の書いた台本をプロの、自分の好きな噺家さんにかけてもらいたい。俺の夢の一つ。

笑福亭笑子さんは「パペット落語 めざせゆるキャラNo.1」。小ゑん師匠「『ぐるんぐるん』という回転寿司ネタがあるのでやらなくて良かった。寿司ってダジャレが多いじゃない!?やっていくうちにカタチが出来ていくんでしょうかね」

円丈師匠は「新・ガマの油」。先日の「前座四派の会@お江戸両国亭」でわん丈さんが演っていたのを聴いていたので、少々新鮮さに欠いた。若さと元気、活きの良さでは、わん丈版の方が楽しかったなぁ。

最終に上がった昇々さんは「最終試験」。これまで3回出席している、この円丈らくご塾の中でも、今回は個人的に、はっちゃけきれずに、どんよりモヤモヤした気持ちだったので、昇々さんの「最終試験」で一定の満足感を得ることができた。昇々さんは「最終試験」、実は今日が3回目だったけれども、今夜のが一番楽しく面白がって聴くことができた。

昇々さんいわく「最後だからシンプルにやろうと思った。『そぎ落とす』のが自分の信条。ボケのおもしろさを活かすためにはAだけ残してBCDは捨てる、みたいな。1分に3つ位しかボケを入れられないが師匠たちは6、7個入れているのを聞くとすごいと思う。僕の場合は古典を基本にして作っている。今日の噺は『代書屋』がヒントです」



最後は恒例の、演者・観客が車座になっての打ち上げ反省会。緊張しいなので、このスタイルは何度体験しても馴染めないのだが、清麿師匠・円丈師匠・小ゑん師匠の話(新作落語について・実験落語時代の話・渋谷ジァン・ジァン時代の逸話など)を聴くことができるのが何と言っても俺は楽しく、自分へのご褒美かつ試練・修行として勝手に認識しているのだ。

観客の感想、演じた噺家自身のコメント。いろいろな話を聴くことができて、落語本編よりも、打ち上げ反省会の方に俺は満足を感じた。

小ゑん師匠「いろんな事やりましたよ。秋川まで行ってアウトドア落語とかね。滝に打たれたり、バーベキューしたり、ラジオ体操したり、座布団捨てたり、走ったり…。円丈師は(登山家の噺をした際に)ジァン・ジァンの舞台に釘を打ち込んで叱られたり。」

 



特に俺が今夜、もっとも共感した、感動すら覚えたコメントは清麿師匠のこちら。

「荒削りのパワーが欲しい。スマートになってきている。いい意味で器用になっている。前はもっと個々が先鋭化していた。時代に流されないものを作って欲しい」

「アマの要素を持っていないと枯渇するんですよ。プロ=古典、古典をやる人はプロ中のプロ。でも、そればかりだと落語は滅びてしまう。古典=邪道だ、というのが新作の原点。それを私はつばめ(故・5代目柳家つばめ師匠)と円丈師匠から学んだ」

このコメントを聴いて、俺は円丈師匠の本よりも、柳家つばめ師匠の「創作落語論」をアマゾンでポチっとしたのでした。清麿師匠の話(噺もいいんだけど、噺ではなく)を延々と聴いてみたい。楽しいだろうなぁ。

 

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コメント: 2
  • #1

    やまちゃん (水曜日, 09 10月 2013 12:15)

    今回も入魂のレポートありがたいです。楽しんで読ませていただきました。
    K麿師匠はバーボンオンザロックばかり飲んでいるかと思いきや、講演の才能が
    あるんですね。
    つばめ師匠の本、僕も購入してみます。
    円丈師匠の本も、昭和の名人たちのエピソードが多く楽しめました。
    「ろんだいえん」もおすすめです。

    しかし、串かつの安さが気になります。

  • #2

    code-name-blog (水曜日, 09 10月 2013 13:22)

    やまちゃん さん

    コメント有難うございます。
    円丈師師匠の存在が大きすぎるが故に、比較的目立たないのかもしれませんが、清麿師匠の持論、ロジックってすごいなと思いました。明晰な方なのでしょう。

    いつか、バーボン・オン・ザ・ロックを呑みながら、その辺の話をたくさん聞きまくりたいと願うばかりです。