書店と書店員と本屋業

ときに書店を巡る状況は厳しさを増すばかりだ。今日もこんなニュースが目に付いた。

集英社も4.4%減 出版大手10社中7社が減収、市場縮小止まらず 帝国データバンク調査 ITmedia ニュース

人口が減少傾向なのだから売上減は当然のなりゆき。日本のあらゆる市場が縮んでいくのは不可避。あと、出版業界で言えば再販制度を選択したりとかね。

だからと言って物流界の巨人・amazonに占拠されてばかりいてはいけない。

昨日はamazonじゃない日だった。本屋を楽しむ日だった。amazonにはないホントの本との時間。利便性だけでは満たされない、リアル書店での時間を楽しむ日だったのだ。

今回は気づきがあった。

俺が「誕生日に息子にこんな本を贈ろうかと思っている」とつぶやくと、歌うプロ書店員・まさよから、本をおススメされた。

彼女は俺に、本をキュレートしてくれたわけだ。

キュレーション(curation)とは「情報などを集め、整理し、新しい視点から価値を加えて、その情報を他者と共有する」といった意味。その動詞形がキュレートだ。

これまで「キュレーター」と言えば、所謂「学芸員」のそれだった。博物館(美術館含む)、図書館、公文書館のような資料蓄積型文化施設で、施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職、管理職を指す。

でもネットが発達し、情報が必要以上に行き渡り、情報洪水の現在では、あらゆる局面で「キュレーター」が必要とされている。本選びもそうだ。

本のキュレーター。かっこいいじゃないか。プロ書店員は、みんな「本のキュレーター」になればいいのに。

システムやDBやAIや検索技術がいくら発達しようとも、人間に気持ちよくキュレートできるのは人間だけだ。

来年、ハッシュタグ「#本探し」を付けて、「今度15歳になる息子に贈る本を探しています」とつぶやくと、全国各地のプロ書店員、読書好きの人たちから一斉に、「こんな本はどうだい?」とレスが返ってくる。こんな状況が生まれていればいいのになぁ。