12月中席夜の部「入船亭扇辰」主任興行@鈴本17(火)

12月中席夜の部「入船亭扇辰」主任興行@鈴本17(火)

三遊亭ふう丈:「転失気」
春風亭一蔵:「黄金の大黒」
ストレート松浦:ジャグリング
古今亭菊太楼:「くしゃみ講釈」
古今亭志ん橋:「出来心」
ロケット団:漫才
橘家文左衛門:「時そば」
三遊亭白鳥:「ナースコール」
-仲入り-
柳家小菊:粋曲
春風亭一朝:「壺算」
アサダ二世:奇術
入船亭扇辰:「五人廻し」



ふう丈さんが話し始めた所で途中入場。ギリギリ間に合ってよかった。ただ、御目当ての神田志乃夛寿司は売り切れていた。なんて日だ!ふう丈さんの「転失気」は、円丈師匠の国立興行で聴いて以来。上手になりましたねぇ~。ふう丈さん、わん丈さんには大きな未来が見えますなぁ。

一蔵さん「黄金の大黒」。先日の「幇間腹」よりも高座にたくさんかけているのでしょう。自分のものにしちゃってるきがしました。

ストレート松浦さんは初めて。

菊太楼師匠は「くしゃみ講釈」。今日観ていて、雲が晴れていく気がした。以前から、誰かに似てる誰かに似てるとずっと気になっていたのだけれど。今日わかった。ブラマヨの吉田だーーー。それはそうと、この噺。望遠鏡⇒健忘症⇒覗きカラクリの演目⇒「八百屋お七」⇒お七の恋人は誰?⇒小姓の吉三⇒胡椒という連想はなんとも初見の素人にはわかりずらい。だからと言って嫌いな噺かと言うとそうでもない。逆に背景を知ると2倍楽しめる感じで好き。この噺に本寸法があるのなら、いつか寄席サイズじゃないフルサイズの「くしゃみ講釈」を聴いてみたい。駆け足気味にとんとんやらない、わかりやすいテンポで。

志ん橋師匠は「出来心」。こちらも寄席サイズではなく、本寸法の、しかも「花色木綿」で聴きたくなりました。にしても、羊羹を盗み食いするシーン。もーーーんのすごく美味しそうだったわぁ。

ロケット団:漫才。「待ってました!」の声は飛んだものの、先日よりも客との笑いのコミュニケーションは今一つしっくり行ってなかった模様。今夜は客との相性が悪かった。

文左衛門師匠は「時そば」。国立では敬愛する喜多八師匠が「うどんや」をかけたようです。師匠がかけるこの噺、もんのすごく美味そうで上手くて大好きな噺でして。大好きな大好きな「喜多八うどん」。だが今宵はそれに勝るとも劣らない「橘家の蕎麦」にやられてしまいました。

前半は美味しそうに美味く巧く。後半は笑いをいっぱい混ぜながら上手く巧く。際立った落差があって素晴らしい。汚い茶碗を見て「なんだ、この猫の茶碗」「井戸の茶碗だって?ふざけんな」の件が最高に面白かった。落語好きならみな笑うところでしょう。文左衛門師匠の「時そば」。この噺のせいで今無性に蕎麦で酒を呑みたい。

白鳥さんは「ナースコール」。

柳家小菊姉さんは粋曲。今夜は初めて聴く仮名手本忠臣蔵。全段通しで2分30秒とのこと。中身には明るくないが雰囲気雰囲気。楽しく楽しく聴きました。

一朝師匠の「壺算」。どこかで以前聴いたかも。信頼の噺家。最近ようやく、一朝師匠や雲助師匠の神髄がわかってきた俺であります。

「マジックは錯覚です」とアサダ先生は軽くテーブルマジック。話ながら手に持った扇子をくるくる回すのは扇辰師匠と同じ癖ですね。

で、トリの扇辰師匠。「いま楽屋入りしたばかりなんで」と根多帳(大宝恵:おぼえ)を持ちながら登場。“つかない”ように、何を話そうかなと言いながらネタ決め。

師匠が優しいなぁと思うのは、根多帳を下げに出てきた前座の小はぜさんを紹介したりなんかするところ。惚れてまうやろー。いま俺が20歳そこそこなら、喜多八師匠と同じくらい弟子入りしたい噺家さんです。

「今日はお子さんいらっしゃいませんよね」と言いながら廓話。「五人廻し」を。「五人廻し」の五人の登場人物とは

一人目:啖呵切りの客。職人?言い立てが山場。
二人目:「おぃ、きみぃ」口調の堅物な男。役人?浪士?
三人目:おかまっぽい客。俗人?半可通?最後には男色。
四人目:「ちょっくらコケコ!」の田舎客
五人目:喜瀬川花魁をはべらせているズーズー弁のお大尽
※二人目と三人目が逆かも。間違い勘弁。それとも人によって自由?

喜多八師匠の話ばかりでなんだが、俺、喜多八師匠の「五人廻し」も大好きなんです。あの演じ分けというか、「きみぃ~」の客なんか、もう痺れちゃう。扇辰師匠の演じ分けもお見事でした。

最終日の金曜日にも行きたいのですが…