第176回ざま昼席落語会@相武台前ハーモニーホール座間

★第176回ざま昼席落語会@相武台前ハーモニーホール座間

柳亭市助:「一目上がり」
柳家喜多八:「だくだく」
瀧川鯉昇:「ねずみ」
-仲入り-
瀧川鯉昇:「持参金」
柳家喜多八:「紺屋高尾」


初めて聴く前座さん、柳亭市助さん。「一目上がり」をしっかりとそつなく。落ち着きもあって、今日の収穫は市助さんに決定。しかし、この「一目上がり」って噺は良くできてるよ。賛、詩、悟なんてね。イカス!すごい!嫉妬しちゃう。おまけに「長き世の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の佳きかな」なんて回文付だぜ。これでもか、これでもかと、センスを見せつけられる秀作。

 

今日はおめでたい噺としてかけてるから「七福神」でサゲてるんだろうけど、俺としては、たっぷり「芭蕉の句(九)」まで行くのが好き。

いよいよ登場。喜多八師匠はお手のものの「だくだく」をさらりと。今日は声にハリがあって顔色も良く、観ていて安心な気持ちにもなりました。大きな声も張り上げていたし、元気そうな殿下を見ると心からうれしくなります。

鯉昇師匠は「ねずみ」をたっぷりと。「竹の水仙」「三井の大黒」などと並ぶ、名工・甚五郎の逸話もの。うちにも見事な木彫りの鼠、福鼠がやってこないかなー。「クチコミ・マーケティング」を代表するような噺です。

仲入りを挟んで鯉昇師匠の「持参金」。貧乏話が有名な鯉昇師が演じる貧乏な男の噺だけに、「ニンに合っている」といったところか。女性の容姿を笑いのネタにするところはあまりすきな噺ではないが、エンディングと言うかストーリーが立っててるところは好き。『金は天下の廻りもの』。俺んとこにも回ってこいやー

最後。圓朝祭りで魅せた「キタナヅカ歌劇団紅組トップスター 永遠ちはやの動画がユーチューブにあがってますから」という枕から、「愛に満ちた噺をします」と喜多八師匠。愛=藍だったのかもな。

「三浦屋」って出てくるだけで「紺屋高尾」は俺にとっては特別なお噺さ。それを大好きな喜多八師匠がかけるってんですからね。うれしくないわけがないじゃない。

喜多八師匠の哲学(生き様?美学?スタイル?様式美?)が反映された、ハードボイルド的とは言い過ぎだが、ベタベタしてない、お涙頂戴じゃないクールなクールな喜多八流人情噺。

泣かせる噺が嫌いと言うわけではないが、喜多八流の人情噺も俺は大好き。満足ですよ。ただ一つ、言わせてもらうならば。(師匠の「居残り佐平次」が聴きたかったんだよーーー)ってことだけかな。

それでも不足していた血中喜多八濃度は少し高まった。ありがたい。

毎年1月の初旬に開催されているざま昼席落語会(瀧川鯉昇・柳家喜多八出演の回)。交通費と時間はかかるものの、これで800円ですからね。来年も行かねばーー