扇辰日和 vol.51

扇辰日和vol.51

柳家花どん:「出来心」
入船亭扇辰:「宿屋の仇討」
-仲入り-
高田みち子:歌(大桟橋と観覧車/最後の散歩道/青春の残照/51st Street,Lexington Avenue)
入船亭扇辰:「夢の酒」


もはや「松之丞百席」「グズグズ寺」「はな平の落語相対性理論」「遊雀式」などとともに、毎回の参加を楽しみに待つ会、「扇辰日和」のvol.51。週末の雪で開催が危ぶまれたが、無事開催していただき、ありがたい限り。

花どんさんは初見。「出来心」。前座さんにしては上手いと思うが、羊羹の食べ方が…。食べ物を美味しそうに食べてくれる噺家が好きなので、ついつい辛口に。頑張って下さい。期待してます。

扇辰師匠は自分の奥さん(おかみさん)を「かかあ」と呼んだりするのだけれど、それがいいよ。俺も今度からかみさんのことを他人様に話すとき「うちのかかあ」と言ってみよう。そんな“かかあ”との件から「今日のゲストは“蟹缶(を誕生日プレゼントに贈ってくれた)みっちゃん”だとのこと。

そして「宿屋の仇討」へ。これはもう、すごい楽しみにしてた大好きなネタ。大好物。特に白酒師の「宿屋の仇討」が世界一好き。それとは違う面白みが滲みでた扇辰師匠の「宿屋の仇討」。

扇辰版「宿屋の仇討」では、万事世話九郎が洒落人で伊八をからかうのが上手い。来る・来てくれる・こりゃれという最上級を駆使する伊八と万事世話九郎の掛け合いが絶妙に面白い。特に最後の「座興じゃ」⇒「よこしまな宗教?」⇒「邪教じゃ」の件が俺的には大うけ。

人情噺だけでもなく、怪談噺だけでもなく、廓噺だけでもなく、長屋噺だけでもなく、夫婦噺だけでもなく、盲人噺(特に俺が言いたいのはこれ。「麻のれん」も「心眼」も見事の一言ですよ。必聴必見です。)だけでもなく、この手の滑稽噺も抜群に面白い。扇辰落語、最高です。

下衆とのシンガーソングライターの高田みち子さん。シンガーソングライターで高田と言えば、高田渡しか知らない俺だったが、高田みち子さん、いいね。4曲のうちでは、「青春の残照」が俺のツボでした。CD買ってみようかな。個人的には、これまでのゲストの中で一番しっくりきました。ゲストは毎回、高田さんで良いんじゃないかなと言うくらい。

最後は「夢の酒」。「お前さん起きとくれよ」で「芝浜に入ってくれ!」と思ったけど、かけるわきゃない罠。俺としては雪だから「雪とん」か「鰍沢」、特にまだ聴いたことがない扇辰版「鰍沢」を期待したのだけれども…。

「冷やでも良かった。」がサゲの「夢の酒」ですが、大旦那の好みは熱燗。俺も終演後は熱燗でキメようと決心。餃子とヌル燗で余韻を楽しみましたよ。

ところで登場する「淡島さま」って、世田谷区代沢三丁目、森厳寺境内にある「北沢の淡島さま」みたいですね。世田谷区民、近所に住まわっているものとしても共感大であります。

兎にも角にも、扇辰節、最高。次回は6月14日(土)。