新宿亭砥寄席喜多八・白酒二人会@新宿文化センター小ホール

新宿亭砥寄席喜多八・白酒二人会@新宿文化センター小ホール

柳家緑太:「狸札」
桃月庵白酒:「喧嘩長屋」
柳家喜多八:「片棒」
-仲入り-
柳家喜多八:「短命」
桃月庵白酒:「今戸の狐」


久々の喜多八師匠。もちろん白酒さんも大好きなので、この二人会は垂涎。道楽亭のに行こうかと思っていた矢先に、テイトさんの方が先行開催を。なので、こちらに。

緑太さん。本当に狸に聴こえる可愛らしい裏声が印象的。普通に上手い。それにしても花緑一門はみんなお弟子さんが同じ系統の顔に見える。唯一違って見えてた、惣領(一番)弟子の初花さんは…

白酒さんは「喧嘩長屋」。最近よく寄席でかけてるネタで、喜多八師匠が聴いてみたいからやってくれとリクエストしたらしい。確かに大うけ。以前も書いたけど、ビンタの仕草がこれほどまでに大きく面白い人は白酒さんだけではないか。「手が痛くなるンです(苦笑)」と言うのも納得のビンタの嵐。これはウケないわけがないよ。さすがの一席。

一方の喜多八師匠!心配です。心配させないでくだせぇーー

なぜって。また痩せてたから。これまでも(俺が見かける限り)痩せたり、元に戻ったり(決して太りはしない)を繰り返してるっぽいとはいうものの…。

・・・。痩せた姿を見るにつけ心配になる。高座に上がれば、いつもパワフルなんだけどね。蝮酒とか艶っぽい話とか、体力系の枕は楽しいけど、大好きなだけに余計に心配に。

しかし、かけてくれたネタが「片棒」だった!うぉぉぉーーー俺が今月一番聴きたいと願っていた喜多八版片棒。やったぜ!

はな平さんのような若手が掛ける「片棒」とは違う、枯れ気味の抑制の効いた「片棒」。ただ、俺なんかは(師匠、空元気、みなに心配させまいと思って無理に派手な動き系の片棒を選んだのですかー!あえて、あえて、片棒をぉーーーー)という気持ちになっていたことも確かだ。痩せ加減が気になります師匠。いつか、広沢虎造のバージョンの喜多八流「石松三十石船」を聴きたいです!

で仲入り。サイン会があるというので、俺は密かに先月買った「柳家喜多八膝栗毛」を持ちこんでいたのだ!で、念願のサインを!落語協会1階でも道楽亭でもお願いできなかった、言いだせなかった一言を。「サインお願いします」の一言を…言う出す前にもじもじしてるまもなく、師匠。「お名前は?」

俺「****です」
師匠「なんて漢字を」
俺「ええっと、啄木のたくで、左が王篇で…」
師匠「…」
俺「師匠、いいです。ひらがなで『****』と、それでいいです」
師匠「いやです。漢字で書きたいです」
俺(あぁぁぁ、師匠。俺、師匠のそういうとこが大好きなんだよぉぉぉぉぉ)

(テーブルの上にポケットティッシュが一つあったので)
俺「では、この上に書かさしてください。(あぁ、かかさしてだなんて、間違った日本語を!師匠の前で!)」(すらすらすらり)

師匠「へぇぇ、すごい(漢字)ですねぇ。はいどうぞ」
俺「あ…ああ、、あ、、あ、、ありがとうございます。(道楽亭の打ち上げで二度逢ったことあるんだけど、覚えてるわけないよな。ま、いいや。どうせone of themの客なんだ。ファンなんだ。いいんだ。しかし、それにも増して感激だ感激だ感激だ!)あ、あのぅ…握手もお願いします…」

という具合に、相当に完全に舞い上がった俺であります。あがり症って、やーねー。


仲入り後は喜多八師匠が「あとはもう白酒に任せて、俺は好きな事やって降りますから」という台詞を皮切り、「昔の寄席ではね、噺家がもっと偉そうで客に媚びてなくて、もんのすごい小声で話を初めて、客を前のめりにさせて…」といった枕を振り振りして、初めて聴く喜多八版「短命」へ。

この喜多八版「短命」がすこぶる良かった。芸を見た。聴いた。笑った。短命の原因が理解できないでいる八五郎に対し、業を煮やした隠居が声を出さずに説明するのだ。これは師匠の短命だけじゃないのか。パントマイムよろしく、無言で仕草を振り続ける一連の件は、時間が停止したかのような、高座に全客が集中し、惹きつけられ、志ん輔師匠がたまごの会で言ってたところの「(客から発せられる、気持ちの)糸」をグイと束ねて、自在に操っていた瞬間だった。話すのが商売の噺家が話さないで高座で演じる怖さはきっとあるはずなのだ。が、師匠レベルになると違うね。

トリの白酒さんは「今戸の狐」。この噺、ややこしくて、正直苦手な部類。


良い意味で聴き疲れた。明日も白酒さん。珍ネタの会なので「今戸の狐」はかけないと思うから、ちと安心&期待でわくわく。あがり症で爆笑なあとは、あがりもの、揚げもので打ち上げ。気分あげあげ。

 

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コメント: 2
  • #1

    りつこ (日曜日, 09 3月 2014 10:45)

    初めまして。いつも楽しく読ませていただいております。
    私もこの会に行っておりまして、白酒師匠にサインをいただこうと並んでいた時に、お隣でティッシュケースに名前を書いている方がいて「ナイス!」と思って見ておりました。
    日記を見て「おおっあれがいつもブログを拝見している…!」とうれしくなり、コメントしました。

    喜多八師匠、痩せてましたよね…。
    心配です。

  • #2

    code-name-blog (日曜日, 09 3月 2014 14:21)

    りつこさん

    はじめまして。お恥ずかしい駄文で申し訳ないですが、まさに日記代わりに、メモ代わりに書いておる次第です。あー、顔で…顔でばれていましたか。でも、なんですよ。俺のことなんてさておきですよ。

    ですよね、喜多八師匠。心配です。

    過去においても、痩せたことで心配したことはあるのですが、そのたびに、しばらくすると戻っており。戻っておりと言っても、心配が消えない程度のお戻り具合ではありますが。にしても今回は…という。働き過ぎでは…なんて勝手な気持ちも感じたりして…。

    杞憂であってほしいですし、「野暮は言いなさんな。俺のことはほっといてくんねぇ」みたいに思っているやも知れず。だから高座で言うのかなと。「気の持ちようなんですよ!」なんて。これも師匠なりの矜持の表現なんだろうかなと。

    今夜の「試作品@落語協会二階」にも行きたいけど行けず。せめて、次の鳥越寄席には出席しようと思っている次第です。3月中席「池袋演芸場 昼の部」にも一回は足を運ぶつもりでおります。とにかく、90歳くらいまでは生きてもらいたいので、せめて俺などは念を送るだけなのであります。

    喜多八師匠!ひろふみさん!長生きして、もっともっと噺を聞かせて下さいっ!