この人を聞きたい「遊雀の世界」@無何有

この人を聞きたい「遊雀の世界」@無何有

三遊亭遊雀:「粗忽長屋」
三遊亭遊雀:「長屋の花見」
-仲入り-
三遊亭遊雀:「御神酒徳利」

新宿はいいなぁ。寄席はあるは、落語会会場はたくさんあるわで。今夜行った「無何有(むかう)」は初めての場所。新宿三丁目と言うか新宿東口というか新宿東南口というか、とにかく怪しげな一角に。わからなくて、一度、素通りしちゃったよ。

30~40人でマックスだろうと思われる会場は、マックス。遊雀師匠の独演会は、そうそうないし、しかも、ゲストなしの本当の独演。先日の喜多八師匠の会に次ぐ、独占噺家の時間状態。狭い会場(狭すぎても嫌だし、畳席はもっと辛いけど)での小規模独演会って、はまるとたまらない魅力。

受付で「打ち上げ参加なさいますか?」と聞かれるも、丁重にお断り。涙涙のお断り。仕事が詰まってなくて、俺にもう少し勇気と思い切りの良さと豪胆さがあれば…。

遊雀師匠の「粗忽長屋」。八や熊よりも行倒れを世話するおじさんの翻弄されっぷりがとっても可笑しい。古典中の古典の「粗忽長屋」だけど、本当はそんなに好きな噺じゃない。なかった。でも今夜遊雀師匠の「粗忽長屋」を聴いて、(あぁ、こんなに笑える噺なんだ。面白い可笑しい噺なんだ)と再認識しました。

遊雀師匠「粗忽長屋は難しい。小さん師匠の粗忽長屋は、私が今やったよりも、言葉が半分で、笑いは倍あります。自信がないと、怖いから噺家はいっぱい喋ってしまう。でも、小さん師匠位になると言葉が半分でも、笑いは倍。難しいです。」

あぁ。こういう話(噺家さんの考え。芸論。落語論。生き様)を聴くの大好き。この手の話を聴くことができるから、こういう落語会は止められない。その他に志ん朝師匠の逸話なども話してくださった。ありがたい。
遊雀師匠「あぁ、でも、なんでこんな話をしてるんだろ。きっと気分が良いからだ。この落語会はいいねぇ。気持ちがいい。同業者(落語好きたち)の会って感じが強い。」

ますます、うれしくなっちゃった!

二席目は「あれとこれと、どっちをやろうか迷ってます」と言いつつ、「長屋の花見」を。師匠の「花見の仇討」は何度も聴いたことがあり、大好きな噺の一つですが、「長屋の花見」はそう言えば聴いたことがなかったなぁ。まぁ、これは比較的普通でした。

で、仲入りを挟んで最後は「御神酒徳利」。この噺、鯉昇師匠のを聴いたことはありますが、本寸法は今夜が初めて?かなぁ。鯉昇師匠もここまでたっぷりやってくれたっけかなぁ。プログラムを見ると、以前の(2009年8月)ひとり会でも「御神酒徳利」をかけたらしいです。

で遊雀版「御神酒徳利」。良かったぁ。たーーっぷりで大満足。算盤占いだけに、生活がケタ違いによくなった~ってサゲではなく、「カカァ大明神のおかげ~」の方のサゲ。超贅沢な遊雀独り占め会。あぁ~ぁ、打上げ参加して落語論聴きたかったなぁ。