第十三回 夢吉のバカ!

夢吉のバカ!12→13(お江戸上野広小路亭)

三笑亭夢吉:ご挨拶
古今亭今いち:「旅行日記」
三笑亭夢吉:「元犬」
三笑亭夢吉:「千両箱(田河水泡作)」
-仲入り-
三笑亭夢吉:「次の御用日」(ネタ下ろし)


恒例、夢吉さんのご挨拶が開口一番。最近行った変わった営業仕事話など、立ちトークで。「お後がよろしいようで」が決まり文句のテレビドラマってなんだろう。気になる。

今いちさんは「旅行日記」。円丈らくご塾で聴いた時より、(うーん…)な感じ。ド新作の方がはまるんじゃないか、もしかして。この人は。

夢吉さんは「元犬」。超笑劇。こんなに破壊力のある「元犬」、はじめて。夢吉さん凄い。凶器を感じるほどにじゃれつき、邪悪さも漂わせるが、決してダークにならないのは、柳家小蝠師匠に「ニコニコバカ」と言われるほどの天性の朗らかさが緩和剤になっているからだろう。とにかく、この犬、笑える。(豪傑だな!)

夢吉さんの二席目は「千両箱(田河水泡作)」。初めて聴きました。仕事の疲れで、眠くて眠くて。残念…

トリネタは「次の御用日」(ネタ下ろし)。どこかで聴いたことがあるんだ。でも思い出せない。もしかしたら鶴光師匠かな。ネタ下ろしだからって半端な仕上がり具合では客には見せないよ!という夢吉さんのプライドをひしひしと感じる。毎回のことだけど。

夢吉版「次の御用日」では、奇声が「ひゃっ!」だった。

「『ひゃっ!』と申したもんなら『ひゃっ!』と申したと申しますが『ひゃっ!』と申さんものは『ひゃっ!』と申さんと申すより、いたしかたございません」

もう、眠気も吹っ飛ぶ大爆笑。

枝雀師匠(2代目)は、奉行が奇声を発しているうちに恥かしくなって「本日の裁きはなかったことにしてくれ」と言う、というサゲに変えているとの情報が。俺も、こっちのサゲの方が、もっと面白い気がする。夢吉版は鶴光師匠に習ったそうなので変えたりしないだろうけど。

いやぁーーー満足、満足。大満足。

早く14回目の日程が決まらないかなぁ~

(この後、事務所に戻って徹夜で仕事しつづける俺なのであった。てか、いま事務所でこれ書いてんだけどねー。さ、夜鍋仕事、朝まで仕事だよーん)


★マーケティングの視点★
ブランドとは顧客との信頼関係を指す。芸人で言えば、芸人のブランド=観に来てくれたお客との信頼関係。ということだ。夢吉さんが毎月、この独演会「夢吉のバカ」を催さないのは、伺ったところによれば、次のような理由からだそうだ。

事務局としては毎月の開催を検討したことはあったが、『全ての高座一席一席を大切に』というのが夢吉さんの想い。そのペースを乱すような開催スケジュールを組むべきではない。だから、毎月あるいは隔月の定例会のようなスタイルにはできない。

と、まあ、要約するとこんな感じ。

簡単に言えば、ネタおろしの品質が担保できないから「『毎月やるよ!』とは言えないよ」ということだ。素晴らしいことですよ、これは。品質最優先主義ということですから。これを知ってから、ますます夢吉さんが好きなになったことは言うまでもない。