遊雀式スペシャル「輪廻転生」@池袋

遊雀式SP「輪廻転生」@東京芸術劇場シアター

オープニング演出:生前葬風味の読経(法話研鑽会)
三遊亭遊雀:「粗忽長屋」
三遊亭遊雀:「死神」
-仲入り-
ぴろき:「ウクレレ漫談」
三遊亭遊雀:「らくだ」


落語会で何がうれしいかって言うと、噺家さんの心の内がしたためられたパンフレット、案内状、挨拶状、プログラム。今夜の「遊雀式スペシャル」には、それがあった。印刷の文字ではあるものの、師匠の心根が書いてある。開幕前から、とってもうれしくなっちゃいました。

さぁ、開幕の時間。プログラムには「派手なオープニング」なんて書いてある。期待しない訳がない。想像しない訳がない。構えない訳がない。

が、そんな狭量な推測、想像の遠く、想定外・範疇外のコトが始まった。

場内に響くお経の音色。(お経をバックに幕が開いて一席始まるンだな)くらいに思っていただけど、全然違う。

幕が開かない。

幕が開かない。

そのうち、後ろから、両脇の扉からお坊さんたち(2列。5人ずつ。合計10人の僧侶)が入ってきた。もちろん、生読経。お経読みながら、そして登壇。

これがまた長い。良く知らないけど、正式なお経をフルバージョンで読み上げてるんだろうね。終わらない、終わらない。

仕舞には、散華(さんげ)し始めたよ。花をまいて仏に供養するアクションだよ。こりゃ、生前葬だ。これから話す噺の供養か、はたまた、三遊亭遊雀の生前葬か。

荘厳で長い長いオープニングが終わってようやく。緞帳が登って行く。


まずは「粗忽長屋」。聴くのは二度目だろうか。

「死神」の楽しみは呪文(合言葉)とサゲ(終わり方)。

呪文。語り手がその時々の流行語や時事ネタを呪文にしてくれるからね。師匠の場合は「SMバー」だった。

サゲ。これもいろんなパターンがある。師匠のは死神(陰に籠ってない陽気な死神)が消して殺しちゃうパターン。でサゲの一言。「だから言ったろ。人間、どこでどんな災難に遭うかわからねぇって」

ぴろきさんはウクレレ漫談。飄々と。

でトリネタが「らくだ」。もちろんフルバージョン。途中、ハメモノ(音曲)入り。

上手から屑屋の真似して歩いて入ってきた。登場から噺にはいってる。こういう入り方、俺好み。大好き。

師匠の噺は、どの登場人物もみんな優しいの。ほろ苦かったりするけど、基本、誰もがみんな優しめテイスト。

スペシャルなのは「輪廻転生」というテーマと、豪華な会場と、オープニング演出(生前葬風味)だけ。

後はいつものように飄々と、淡々と。

特別編なので噺に魂込めました!


みたいな気負いは一切なく、いつも通り。普段着な「遊雀式」。


死を扱った噺ばかりではあるものの、「輪廻転生」というテーマ設定からも読み取れるように「救い」があるのが「遊雀式」。笑いで浄化、笑って昇天的なのが「遊雀式」。

衒い(てらい。自分を相当な者らしく見せかける。自慢して見せびらかす。したり顔。気取り。かっこつけ。)がないのが遊雀師匠の了見なんだろう。心地良い2時間でした。

ちなみにオープニング演出に協力してくれた「法話研鑽会」とは。

法話研鑽会は、平成14年に真言宗豊山派に籍を置く青年僧侶が中心となり発足しました。仲間は宗派の垣根を越え(真言宗智山派、天台宗、浄土宗、曹洞宗)、40名(平成25年2月現在)にのぼっています。

――袈裟の違いこそあれ、仏教が目的とするものは同じ――
会員それぞれの個性や人生観を基に、柔軟な布教を実践しています

っだてさ。いい感じだね。

★マーケティングの視点★
「遊雀ブランド」はできていて、日々、成長している。ここまで気持ちよく聴けるなんてね。うれしい。気持ちよい。心地よい。ブランディングというモノは、かくありたい。噺家であってもプロダクトであっても。