【リ・デザイン事例】地域消費者から地域特有のニーズを、経営陣が、皮膚感覚で吸い上げる。ライバルはマクドナルドではない。顧客満足度指数で初の1位。「モスバーガー」

今回取り上げたのは「コト」のリ・デザイン。モスが行っている“マーケティングとの向き合い方”のリ・デザインとも言える動きについて、ご紹介します。


今年6月、サービス産業生産性協議会(代表幹事:秋草直之 富士通株式会社顧問)は、2015年度「JCSI(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)」第1回調査として、6業種(コンビニエンスストア、シティホテル、ビジネスホテル、飲食、カフェ、事務機器)における、のべ64企業もしくはブランドの満足度などを発表しました。

http://www.gourmetbiz.net/12625/

【各業種の顧客満足1位企業・ブランド】
・セブン-イレブン(コンビニエンスストア):5年ぶり顧客満足1位、他4指標でも1位。
・帝国ホテル(シティホテル):7年連続顧客満足1位。
・リッチモンドホテル(ビジネスホテル):2年ぶり顧客満足1位。
・モスバーガー(飲食):高い顧客期待、知覚品質を受け初の顧客満足1位。
・ドトールコーヒー(カフェ):知覚価値、ロイヤルティの評価で初の顧客満足1位。
・富士ゼロックス(事務機器):5年連続顧客満足1位

▼調査結果詳細:
https://www.atpress.ne.jp/releases/62759/att_62759_1.pdf
▼参考資料:
https://www.atpress.ne.jp/releases/62759/att_62759_2.pdf

飲食全体の顧客満足の中で、前年度3位から1位へ躍進したのが「モスバーガー」です。また、それと前後して、こんな記事もありました。

危機マック社長は本社にこもり机上の空論ばかり 好調モス経営陣は消費者&現場と対話徹底
http://biz-journal.jp/2015/06/post_10321.html

気になったのは次の部分

(「モスバーガータウンミーティング」は同社が11年頃から)持続的成長策として取り組んでいるダイレクトコミュニケーションの一環。櫻田会長と役員が一緒に全国47都道府県を巡回、消費者の声を直接聞くのが目的だ。狙いは、地域消費者から地域特有のニーズを経営陣が皮膚感覚で吸い上げることにある。マーケティングデータに基づき経営計画を立てるのが、チェーンストア経営の基本といわれている。だが、前出経営コンサルタントは「消費者の嗜好や消費行動が多様化した今日、このマーケティングデータ頼りが消費者ニーズとの乖離を生んでいる」と指摘する。

モスバーガーが取り組んでいるダイレクトコミュニケーションはタウンミーティングだけではないそうで、他にも社員との「ランチミーティング」、FCオーナーとの「産直ツアー」、協力農家との「HATAKEミーティング」など多岐にわたっているとのこと。

・現場(スタッフと顧客)の声を聴く、吸い上げる。
・コミュニケーションを絶やさず行っている。(特に現場と)
・常に改善している。(という姿勢と実行力)

この3点がいまのモスを支えています。しかも、付け焼刃ではなく、地道にやってきているため、基盤ができている。時間をかけてブランディングしてきた結果が、いまの状態、状況なのでしょう。モスバーガーのコトのリ・デザイン、素晴らしいです。

モスバーガーと言えば、リクルート時代、その求人広告で賞をいただいたことがあります。社内のコンテストですが、大変な励みになりました。

明日のお昼はモスランチにしようかなぁ。

★マーケティングの視点★

(株)モスフードサービスの櫻田厚氏(代表取締役会長兼社長) は、マスコミなどが取り上げる「マクドナルドvsモスバーガー」という対立構図に、ずっと違和感を抱き続けているといいます。氏のたまわく

・ハンバーガー業界におけるシェア獲得ということをほとんど気にしたことがない。

・モスの経営会議でもそんな話題は出てこない。

・モスバーガーは、飲食店であると同時に、地域のコミュニティーでもあるような場所を作る、というのが創業以来の考え方である。

・モスバーガーにとって「真の競合」があるとすれば、町のとんかつ屋さんやお好み屋さんだ。

この視点が素晴らしい。経営の軸が。だから、しっかりとした顧客視点に立っていられるのだし、ブランドづくりが堅牢なのですね。同業他社=競合だと決めつけることをせずに、「経営理念(目的)」からライバルを見出す。自分たちの目的は?顧客は?ポジションは?といったことを真剣に考えているからこその発想、視点ですね。