桂文雀池袋主任興行⇒柳家小太郎勉強会「とうとう独り」

やったーーー!久しぶりに寄席に!落語を聞きに!生が一番!ビールよりも、刺身よりも、落語こそ生が一番!


先週の土日にも来たかったが、これずに、ようやく今日。桂文雀師匠の池袋昼興業。東武百貨店でお弁当を買いこんで、いざ着席。あぁ、美味しい。あぁ、幸せ。

 

金原亭駒六:「道具や」
三遊亭みるく:「権助魚」
丸山おさむ:「声帯模写」
三遊亭鬼丸:「オレオレ詐欺」
橘家圓十郎:「まんじゅうこわい」
浮世亭とんぼ・横山まさみ:「漫才」
古今亭菊之丞:「片棒(金のところまで)」
桂扇生:「目黒のさんま」
アサダ二世:「奇術」
柳家小はん:「舟徳」
─ 仲入り ─
三遊亭天どん:「タラチネ」
桂文生:「時そば」
三遊亭小円歌:「三味線漫談」
桂文雀:「万両婿」


開口一番は駒六さんで「道具や」。お客で現れる紳士の「たんと、あるじゃろげ」というセリフがおかしい。端正な顔立ちだが、いまの駒六さんは与太郎が似合う。

久しぶりに見るみるくさんは「権助魚」。

丸山おさむ先生は「声帯模写」。重たい客に四苦八苦。途中ぶち切れ?さぞかし掴みにくかった客席だったろうなぁ。

そんな雰囲気の中登場した鬼丸さんは、サゲが「粗忽長屋」的な新作「オレオレ詐欺」。見事に客席を沸かせる。それにしても鈴本の鬼丸興行行きたかったなぁ。おしゃべり上手いんだもの。独演会とかでたっぷり聞いてみたい。

圓十郎さんは「まんじゅうこわい」。ひよこ饅頭の喰い方が好き。なぜなら俺と同じだから!サゲが渋いお茶が~で終わらなかったのは、圓十郎さんらしい。

とんぼ・まさみさんの漫才。関西弁の漫才大好き。

菊之丞師匠は「片棒」。ただし、金のところまで。全編通しで聞きたいものです。

初めて生で聞く扇生師匠は「目黒のさんま」。見た目も雰囲気もしぐさもカッコいい。渋い!いい!去年、独演会行きそびれてるからなぁ。今年は行きたい。

アサダ先生は普段の袴ならぬ、普段の燕尾服。お元気そうで何より。

こちらもお初の小はん師匠。「舟徳」聞いてたら、失礼ながら、俺が舟を漕いでしまって…。

天どん先生は得意の「タラチネ」。「たらちね」ではなく「タラチネ」。鶴女が外国人妻(ハーフ?)という設定だからだそうです。ドーンチュー?が客席を沸かす沸かす。ああ見えて、先生、インテリだからね。「気のない高砂や」も可笑しかった。さすがは先生。天どん風味の脱力系落語がますます磨かれていっているなぁ。

文生師匠は「時そば」。師匠の「不味い蕎麦だねー」が、やけに美味そうに感じた。上手い人がやると不味い蕎麦も美味そうに見えるというコトなのか。優しいからだろうな師匠が。毒気がないすばらしさ。それにしても弟子の晴れ姿にうれしそうだったなぁ文生師匠。素敵な師弟愛。

小円歌師匠の「三味線漫談」も初めて。初めてづくし。これだら寄席が好きさ。粋曲の小菊姐さんとはまた違う。だから「三味線漫談」なのだろうなきっと。

文生師匠が枕で「今日の文雀は百年目を」なんていうから期待してたら違った。おおトリの文雀師匠は「万両婿」。つまりは「小間物屋政談」。大満足。終わりよければすべてよし。

総体的に前半の舞台が荒れていたけど、まぁ、これも寄席らしいっちゃぁ寄席らしい。緊張感を感じながら観覧するのも寄席芸というものだ。ライブなエンターテイメント芸。好きだわぁ、寄席。また主任興業してほしい。また違った顔つきで。

ちなみに、師匠が10日間でかけたネタは「さじ加減」「佐々木政談」「紺屋高尾」「なめる」「煙草の火」「質屋庫」「藁人形」「宿屋の仇討」「居残り佐平次」「万両婿」だそうです。お疲れ様でした。全日寄席に通えたら、こんなに幸せなことはないなぁ。いつか必ず実現させたい。文雀師匠の「宿屋の仇討」「居残り佐平次」あたり、すごい聴きたいわぁ。

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終わるや否や、(ああぁ、このまま夜席も聞いていたい!せっかくの入れ替え無しなのに!)という誘惑に駆られつつ、やまとさん文菊さん雲助師匠らに後ろ髪を引っ張られつつ、一路、山手線で御徒町へ。

余裕で間に合い、おにぎり喰いつつ、開演を待つ。

柳家小太郎勉強会とうとう独り@落語協会2F

柳家小太郎:「天狗裁き」
柳家小太郎:「穴泥」
─ 仲入り ─
柳家小太郎:「リアクションの家元」

特筆すべきは「リアクションの家元」。百栄先生の代表作を小太郎さんが!


面白かった。が、まだまだ本家家元・百栄先生は超えられない。なぜなら、「リアクションの家元」に登場している「リアクションの家元」が本気すぎる、というか、つまりは上手過ぎるというか、演じすぎてるというか。

百栄先生の脱力さ、良い意味でのいい加減さ(適当でふにゃふにゃした関西弁)だからこそ!の部分が、小太郎さんだと本格的すぎて(古典落語が王道的で上手いから)、変にリアル過ぎたというか、何と言うか…。

百栄先生の古典落語がどうのこうのということではありません。百栄先生の古典落語も俺は大好き。でも、どちらかと言えば、春風亭百栄と言う人はやはり新作落語の旗手でありますから、その人が演じるのと、古典が得意な小太郎さんが演じるのとでは、やはり受け手としては微妙に感じ方が違うのであります。

例えれば、白鳥師匠が自分の新作をやるのと、扇辰師匠や三三師匠あたりが白鳥師匠作の新作をやるのとでは、全く違ってしまうのと同じ現象というか。(良い意味での)不真面目さ・適当さが欠かせない噺もあるのだろうなぁと思う次第です。

まぁ、なんやかや言いながらも、たいへん面白かったですし、全体的に大満足でした。次の「とうとう独り」にも行こうと思います。

★マーケティングの視点★

落語家人口は増え続け、真打も増え続け、落語会も増え続け、しかも、これまでのニッチな時間帯(昼、午後一、21時頃)にも落語会が催されてきているという。ますます激戦が予想されるわけですが、落語市場を奪い合うだけではなく、市場を育て拡充するという方策も練らないとなぁと感じます。楽が市場でも「三方よし」を。噺家、聞き手(客・主催者・イベンター)、世間。三者がハッピーになるように知恵を絞りたいものです。